暖冬で「使い切れなかった灯油」は次の冬にまた使えるか?

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残った灯油は来年……

 2月20日、関東では15年ぶりに夏日になった。群馬県伊勢崎市では午後1時に気温が25.4度と、早くも“今年一番の暑さ”を記録。東京でも、5月中旬並みとなる23.7度のポカポカ陽気に。半そで姿で街を行きかう人々も目立っていたが、週末の3連休は一転して全国的に雨となり、気温も平年並みに……。

 気象庁による区分では、12月~2月が「冬」と定義付けられているが、それにしても暖かいというか、寒暖の差が激しい冬である。

 ストーブやファンヒーターといった、石油燃焼機器を使って暖を取っているご家庭では、灯油をきちんと消費しているだろうか? 来るべき寒さに備え、大量に購入してあったり、買い足ししていたりと、保管状況は様々だと思われるが、“今年買った灯油は、今年のうちに”が鉄則である。

「余ったら、次の冬にまた使えばいいのでは?」

「灯油は高いし、処分するのはもったいない」

 などと考えてはダメ。未使用灯油=不良灯油は、機器を故障させるだけでなく、火災の原因にもなり得るというから要注意だ。

「去年の灯油を使用したら、ストーブの火が消えなくなった」

「ストーブをつけた途端、煙が出てのどが痛くなった」

 かつて「全国消費生活情報ネットワーク・システム」に寄せられた、灯油に関連すると思われる危害・危険事例の一部である。いわゆる不良灯油を使うと、どのような危険があるのだろうか。

変質灯油と不純灯油

 灯油は無色の液体(ガソリンはオレンジ系、軽油はグリーン系の色がついている)だが、一般社団法人日本ガス石油機器工業会によると、石油燃焼機器に適さない不良灯油には「変質灯油」と「不純灯油」があるという。

「変質灯油とは、灯油の性質が変化して劣化した灯油で、うす黄色をおび、酸っぱい臭いがする場合があります。昨シーズンから持ち越した灯油(特に、乳白色のポリタンクに入れていた灯油)、日光が当たる場所、高温の場所で保存した灯油」(「石油燃焼機器のQ&A」より)などが該当するという。

 乳白色のポリタンクを強調しているのは、赤や青の容器に比べ赤外線を遮断しにくいから。ただ、保管の状態によっては、変色していなくても変質していることもあるので、思い当たる時は臭いをかいで確認するのがいいという。また、

「不純灯油とはガソリン軽油、機械油などが混じった灯油、灯油以外の油を使ったことのある容器に保管された灯油、水やゴミが混じった灯油、ふたを開けたまま保存した灯油」(同)を言う。

 灯油に「水が混じる」のは、ふたを開け放したまま雨水が入るなどに加え、気温の変化で容器内に生じる結露の蓄積もあるという。不純灯油を透明な容器に入れると、水が下に溜まり、二層になるのでわかりやすい。

「変質灯油は薄い黄色だけでなく、茶色になる場合もあります。また、かなり薄いと視認が難しいため、透明の容器に入れ、後ろに白い紙をかざすことで変色を確認することもできますが、越年した灯油は使わないのが一番です」(消防関係者)

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