“崖っぷち”に追い込まれたオリックス「T-岡田」 もう一度輝く姿を見せた時に「4連覇」がぐっと近づく

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「生え抜きスター」の復活はなるか

 シンプルに、そして力強く――。

 時には、三冠王三度のバットマン・落合博満(元中日監督)のように、グリップを体の正面に突き出す“神主打法”の形から、左耳下にグリップを位置した後に、バッティングを始動させていた。屋外の特打後に室内でマシン打撃を繰り返した際には、そのシンプルなルーティンを、何度となく繰り返していた。

「定期的に休みましたけど、オフはほぼ、ずっと動いていた感じです。元々、僕はそういうタイプなんですよ」

 継続的に、オフも大阪・舞洲のファーム施設で打ち続けていた。背中を痛めた昨季はキャンプでも満足な練習をこなせなかったが「今年は今のところ大丈夫です」。

 守備練習でも一塁に入り、ノックを受け、内野の連係プレーにも参加。順調な滑り出しを見せている。オリックス一筋19年という「チームの顔」でもある生え抜きのスターは、自らの進退は、自らで決めることができる立場でもある。

 オリックスが弱いときも、強いときも、背番号「55」は、その歴史の流れの中に必ず存在していた。その長き歩みを見続けてこられた一記者の立場として、もう一度、T―岡田の輝きを見てみたい。そして、ベテランがもう一度輝く姿を見せたとき、オリックスの「4連覇」も、ぐっと近づくことだろう。

 だからこそ、T-岡田の復活に期待してみたいのだ。

喜瀬雅則(きせ・まさのり)
1967年、神戸市生まれ。スポーツライター。関西学院大卒。サンケイスポーツ~産経新聞で野球担当として阪神、近鉄、オリックス、中日、ソフトバンク、アマ野球の各担当を歴任。産経夕刊連載「独立リーグの現状 その明暗を探る」で2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。産経新聞社退社後の2017年8月からは、業務委託契約を結ぶ西日本新聞社を中心にプロ野球界の取材を続けている。著書に「牛を飼う球団」(小学館)、「不登校からメジャーへ」(光文社新書)、「ホークス3軍はなぜ成功したのか」(光文社新書)、「稼ぐ!プロ野球」(PHPビジネス新書)、「オリックスはなぜ優勝できたのか 苦闘と変革の25年」(光文社新書)、「阪神タイガースはなんで優勝でけへんのや?」(光文社新書)

デイリー新潮編集部

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