「女性からのセクハラは見過ごされてきた」 真木よう子騒動に見る、「自虐」と「セクハラ」を混同する危うさ

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「自分の子どもに言えるかどうか」基準は人による? オタク用語をコミュニティー外でも使うヤバさ

 ドラマ「不適切~」では、セクハラを防ぐには「自分の娘にするかどうか」を判断基準にしてはどうかというセリフがあった。男女逆にすると、「自分の息子にするかどうか」となるが、真木さんなら「え? 孕みそうって言えちゃうよ?」と返すのではないか。

 芸人や女子アナもやってきたし何が悪いの、という思いもあるだろうし、性的なニュアンスのワードが最上級の褒め言葉として使われている実態はあるからだ。

 男性声優の色っぽい演技に対して「耳が孕む」という、その“界隈”独特の言い回しはあるし、ライブ中の男性アーティストを「見るだけで妊娠しそう」と評することもある。性的に興奮をあおるようなイラストや漫画に、「シコい」と直球の言い方をすることだってある。真木さんも14歳の愛娘がいるとあって、ネットを中心とした若者層の言葉遣いに慣れていたのかもしれない。

 しかしそれはあくまでも仲間うちだけで通用する言葉であり、本来は面と向かって相手に言うべき言葉ではないというのは、ファンほどわきまえているものだ。内輪独特のコミュニケーションをコミュニティー外でやれば、それは性別や年齢を問わず「イタい」人となる。

 番組放送後の反響を受けて、真木さんはインスタグラムで「舞い上がりすぎてご迷惑をおかけしました。」と投稿。隣にいる新田さんの表情は固い。

 年がいもなく、とか、1児の母なのに、ではなく、距離感のおかしいコミュニケーションをする人は、性別属性問わず「ヤバい人」である。そのことを真木さんは体を張って見せてくれたのだと思えば、男っぽいとかオタクっぽいとか思うかはさておき、「社会派女優」という新たなイメージができたといえるのかもしれない。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部

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