【侵攻2年】「ゼレンスキー大統領の信用は落ちている。今年中に政権が代わるかも…」「今後戦争を続けても対価が高すぎる」来日したウクライナ人・ボグダンさんの本音
領土に拘るべきでない
ボグダン:それでもウクライナのような酷い汚職はない。僕はそういう日本で教育を受けました。僕たちが支援活動をする上で、お金で渡さない、団体を介さずエンドユーザーに渡しているのは、そうした汚職を恐れているからです。
――汚職のない国は作れるのだろうか。
ボグダン:膿を出し切って、一からやり直さないと無理でしょうね。
――戦況はどうなっていくのだろう。
ボグダン:今後も戦争を続けるのなら、対価が高すぎると思います。戦争って勝ったほうも負けたほうもどちらも損をするものです。これまでウクライナは頑張ってきたけれども、これ以上やっても人の命がなくなるばかりでしょう。多くの若者を招集し、何かを生産するのではなく誰かを殺すために自分の力を使うわけです。その力は、いま占領されているウクライナの領土を取り戻すために使われるわけですが、本当にそこまでする価値があるのだろうか。そこまでして戦争を続ける意味があるのだろうか。むしろ、領土は現状のまま停戦して、ウクライナの製造業や軍需産業なども立て直し、5年、10年先に安定した後で取り戻してもいいのではないかと考えています。ウクライナの人口2500万人程度で、あれだけ広大な領土を維持するのは難しいと思います。ロシアだってウクライナに勝てないことはわかっているはず。ですから、永世中立国家として行くのがいいのではないかと考えています。
――ロシアがそれを許すだろうか。
プーチン大統領には代わってほしい
ボグダン:ロシアの望みは、ウクライナがNATO(北大西洋条約機構)に加盟しないことです。ウクライナはロシアに対してはNATOに加盟しない、ヨーロッパに対してはロシア側につかないことを約束する。その上でヨーロッパとロシアにお金を供出させ、ウクライナは永世中立国になればいい。
――そんな都合よく行くだろうか。
ボグダン:NATOはポーランドにウクライナ軍との訓練拠点を作ることを発表しました。それってウクライナ軍がロシアから得たノウハウを学ぶところです。それくらいの価値があるのですから、そのお金を別に使ってもらいたい。
――ロシアも来月には大統領選が行われる。ウラジーミル・プーチン大統領は、政敵を排除し当選は確実とみられている。
ボグダン:そろそろ変わってほしいですね。ただ、いまのプーチンは彼自身ではなく、みんなが作り上げた虚像だと思います。もしロシアがそろそろウクライナから手を引きたいと考え出したら、新しいキャラクターの大統領が生まれるかもしれません。もしそうなれば、ウクライナとの終戦は一気に近づくことになる。ロシアだって戦争を続けることにメリットはないのですから。
――戦争がさらに続いた場合、ボグダンさんが招集される可能性は?
ボグダン:あります。ただ、僕らがやっているボランティアの仕事が軍にも認められるようになり、一兵士になるよりもいまの活動を続けたほうが役に立ちますから、このままボランティア活動を続けることになるかもしれません。
――この2年、危険な目にも遭ったのだろうか。
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