【侵攻2年】「ゼレンスキー大統領の信用は落ちている。今年中に政権が代わるかも…」「今後戦争を続けても対価が高すぎる」来日したウクライナ人・ボグダンさんの本音
ザルジニー総司令官の解任
――2月8日、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領はヴァレリー・ザルジニー軍総司令官を解任した。ウクライナの人々はこれをどう思っているのだろう。
ボグダン:不満は大きいですね。彼はウクライナ人にとって英雄なんです。2014年のロシアによるクリミア併合の頃から彼はずっと戦っており、大きな成果を残し、軍からもウクライナ人からも支持されています。メディアに全く出ない人でもあり、不言実行タイプなところも尊敬されている。そして、権力を乱用するとか汚職の話も一切ない。もちろん好みはあるでしょうが、彼以上の軍人はいないという意見が多い。
――ボグダンさんはザルジニー総司令官から勲章をもらうはずだったという。
ボグダン:兵士への支援活動もあって、総司令官勲章がもらえることが決まっていました。あとは受章式の連絡を待つだけでしたが、ザルジニーさんが解任されてしまったので、新しいシルスキー総司令官からの受章になるでしょう。
――後任のオレクサンドル・シルスキー総司令官はどうだろう。
ボグダン:正直言って、人気はないですね。シルスキーさんはもともとロシア生まれであり、ロシアの軍事学校を卒業していることもある。また、ザルジニーさんは人の命を大切にすることでも有名でした。彼がゼレンスキー大統領の攻撃命令に反対したのも、人が死んでしまうからでした。一方のシルスキーさんは、大統領に忠実だと言われています。
――ゼレンスキー大統領の人気はどうなのだろう。
今年、何かが起こる
ボグダン:下がっています。言っていることは綺麗ですけど、信用は落ちています。年内に政権が代わるかもしれません。
――そこまで?
ボグダン:本来ならば今年3月31日に大統領選が行われるはずなのです。昨年秋には国会議員の選挙が行われるはずでしたが、戦時下のために延期されたままです。3月の大統領選挙も行われなければ、大統領はじめ議員も正式なステータスがないまま続けていることになります。国民から見れば、自分たちが選んでいない人たちが政権を握り続けていることになります。新しい招集法案も議会にかけられ、さらに不満が大きくなったら……軍事クーデター、革命だってないとは言い切れません。
――もし大統領選が行われたら?
ボグダン:ザルジニーさんが出馬すれば、間違いなく当選するでしょう。他に候補者はいません。もっとも、彼を押す勢力には前大統領のペトロ・ポロシェンコ 氏がいる。ポロシェンコ氏が大統領に戻ることはなくても、ザルジニーさんが大統領になれば彼が首相になるかもしれません。そうなると再び汚職まみれの国に戻ってしまうかもしれません。
――ゼレンスキー政権で汚職はなくなったのだろうか。
ボグダン:それについてはノーコメント! もちろんゼレンスキーさん自身にそういった話は聞きませんが、彼の右腕・左腕が何をやっているかはわかりません。結局、彼は今もマネージャーに使われる芸能人なんだと思います。ウクライナの汚職は警察官から裁判官まで繋がっていますから根が深い。その点、日本は汚職がないじゃないですか。
――いやいや、現在、日本の国会は裏金問題で揉めていますし……。
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