【侵攻2年】兵士に給料が全額支給されなくなっている…5年ぶりに来日した、ボグダンさんが語るウクライナの現状
ワルシャワ経由で日本に
ボグダン:そうです。税収入も見込めないわけですから。僕らの周りからも徴兵される人が出てくるようになり、現実を知り始めました。ただ、僕らが支援しているのは兵士というよりも、兵士の家族と考えてもらっていいと思います。また、ウクライナ兵の中には無給のボランティア兵もいるんです。例えば、キーウには攻撃してくるドローンを迎撃するスポットがいくつかあり、そこに勤務する人はボランティア兵です。働きながらの人もいれば、就職難で仕事が決まらない人もいる。彼らに生活物資を届けたりしています。
――そうした活動が認められて出国の許可が下りた。今回、どのようなコースで日本に来たのだろうか。
ボグダン:僕は車でリヴィウ(ウクライナ西部の都市)の先にある国境経由でワルシャワ(ポーランド)に行って、そこから飛行機で東京、新幹線で大阪に来ました。ポーランド国境を超えてから時速70~80キロで20分ほど走ると、道路脇にはウクライナのトラックが数千台くらいずらっと停まっていました。ウクライナの穀物がポーランドに入ったら困るということで、なかなか入国ができないそうです。
――今回、ボグダンさんが来日した目的は?
日本人に来てほしい
ボグダン:もともと僕は、戦争が終わるまではウクライナにいるほうが自分にできることが多いと考えていました。ところが、丸2年というフェーズもあり、日本に来てできることが多くなったと思います。今回、同じ飛行機にウクライナの市長さんとか役人の方も乗ってきました。皆さん会議などに出席しますが、僕はこれまで支援していただいた方とお会いすること、メディアの方とお会いすること、そして企業の方に支援をお願いすることを目的に来ています。これまで日本からは、個人の方から支援はいただいていますが、企業からというのはなかなかありません。例えば、ロシアからは撤退した日本企業はありますが、そうした企業はウクライナに支援してくれるわけではありません。どこまで話を進めることができるかわかりませんが、そういうこともしたいと思っています。
――さらに大きな目標もあるという。
ボグダン:日本の色んな人々の力をお借りして、何か財団的なものを設立できないかということも模索しています。僕たちは草の根的に人と人をつなげて、国を頼らずにやってきましたが、より一歩先に行くタイミングが来ていると思っています。赤十字のような戦争に特化したものではなく、何か緊急的なことが起こった場合に人々を助けられるような、才能のある人を応援できるような財団を作れないか。また、戦争が終われば、日本のテクノロジーをウクライナに呼ぶことができないかも考えています。日本は国土の75%が山地で、災害も多い。ウクライナは戦争さえなければ災害は滅多にないし、国土も平野で農業が盛んで、ヨーロッパのハブでもある。平和になったら日本の人々にウクライナに来てもらいたいです。
後編(【侵攻2年】「ゼレンスキー大統領の信用は落ちている。今年中に政権が代わるかも…」「今後戦争を続けても対価が高すぎる」来日したウクライナ人・ボグダンさんの本音)に続く。