【侵攻2年】兵士に給料が全額支給されなくなっている…5年ぶりに来日した、ボグダンさんが語るウクライナの現状
この冬は幸いにも暖かい
ボグダン:まさか2年も続くとは思いませんでした。2022年2月24日に始まり、早ければ6月、長くても半年で終わるのではないかと考えていました。それがこうして2年、信じられません。ウクライナで生活している人々にとっては10年くらい続いているような感覚があります。
――デイリー新潮は22年12月にリモートで取材させていただいた。当時は停電が困るとおっしゃっていたが、状況は変わったのだろうか。
ボグダン:電気・水道・ガスはあります。ときどき停電はしますが、この冬は大規模な停電は発生していません。今年は神様が味方してくれているのか、暖かいんです。気温はマイナスにならないことが多いので、電気の消費量も少ない。だから、昨年の冬ほど大きな停電には繋がっていないのだと思います。また、ロシアもこれまで発電所を攻撃していましたが、それが大きな被害に繋がらないことがわかったのだと思います。
――ロシアはいま、何を攻撃目標にしているのだろう。
ボグダン:ウクライナの兵士が着る軍服の工場であるとか穀物倉庫……公表されてはいませんが、民間の倉庫にもウクライナの兵器が入っているので、そういった倉庫が標的にされています。
――ウクライナの男性は国外に出られないと聞くが、ボグダンさんはどうやって来日できたのだろう。
兵士にもサポート
ボグダン:僕らはずっと民間の人々を支援してきましたが、ここまで戦争が長引くと、民間の人々も徴兵されてます。それまで支援を受けていた人が軍隊に入ると、軍の内部にも僕らの活動が口コミで広がっていくわけです。もっとも、軍人は信用がないと支援を受け取りません。食べ物には毒が入っている可能性もあるし、物資に盗聴器が仕掛けられている可能性もある。それが活動を続けているうちに信用も生まれ、侵攻から2年のタイミングで、もっとウクライナの現状を日本の人たちに伝えてほしいと出国の許可をもらえたわけです。
――軍への支援を始めたということだろうか。
ボグダン:僕は軍人への支援は必要ないと考えていました。なぜなら、軍人は国がサポートするからです。僕らが支援してきたのは国がサポートしない民間の弱い層、おじいちゃん、おばあちゃんもそうだし、犬や猫もそう。ところが、戦争が長期化すると、兵士にも給料が届いていなかったりするんです。例えば、前線の兵士には前線手当が付くので、日本円で40万円ほどの給料が支払われる。前線でなければ5万円程度です。しかし、そのお金も全額が支給されなくなってきています。そんな給料で、食べ物や服、ガソリン、中古車を買わなければならない。ウクライナ兵は移動の際は自分の車を使用せよとなっているのですが、そもそも車を持っていない人もいます。そこで僕らは、中古の四駆を4台購入して兵士に寄付しました。これは日本からの寄付ではなく、僕らが働いたお金で購入したものです。支給された軍服もサイズが合わなかったり、品質も悪い。買おうとしてもお金がない。それで兵士への支援が必要になっているんです。
――ウクライナも行き詰まっているということだろうか。
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