性問題を考えるヒントになる…「不適切にもほどがある!」が示した「IC」「ホモソ」「みんな誰かの娘」というキーワード

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ドラマ初登場! “ラブシーン”を指導する「インティマシー・コーディネーター」とは?

 2月16日に放送された第4話には「インティマシー・コーディネーター」(以下、IC)が登場する。

 ICとは、映画などでの性的な場面、いわゆる“ラブシーン”などを撮影する際に、制作側との間に入って俳優の意思を尊重させる専門職だ。ハリウッド映画での性暴力が問題になった#MeToo運動以降、性的な場面の撮影が合意のないかたちで行われた、監督などから性的な行為を強要された、といった俳優からの訴えが相次いだ。ICは主に欧米で導入されているが、国際的な映画制作の環境で仕事をすることが多い是枝裕和監督などが中心になり、日本でもICを導入すべきという声は強い。

 つい最近も、演技指導の目的で性的暴行を加えた映画監督が逮捕された。8年前の出来事が逮捕容疑になったものだ。この事件とは別に、同じ映画監督による性被害を実名顔出しで訴えてきた俳優の女性も「やっとこの日が来た。これ以上(映画界が)沈黙とは無視できないことだと思う」とテレビにコメントしている。制作陣と俳優の距離を健全に保ち、こうした事件が起きないためにもICは必要だろう。筆者もこうした動きには注目しているが、ニュース番組で短く紹介されることがあっても、テレビドラマ内でICの仕事が本格的に描かれることはほとんどなかった。

 ドラマでは、トリンドル玲奈が扮するICのケイティ池田 が本格的な英語を話し、プライドを覗かせる場面があった。

(ケイティ池田)
「Intimacy Coordinator…」

 昭和からやってきた市郎にはにわかに理解できないが、テレビ局幹部が説明する。

「監督の『ここまでやってほしい』というイメージと、俳優の『これ以上は無理』というラインを事前にすり合わせてトラブルを回避する(仕事)…」

(市郎)
「チョメチョメだろう。ふだんやっているようにやればいいんだよ」

(ケイティ池田)
「そういう男性優位の考え方で多くの女性が傷ついてきた歴史があるんです」

 そして、実際のベッドシーンの撮影現場では、俳優のマネージャーが細かく注文する。

「デコルテ。谷間。絶対にNGですから。お願いしますよ、インティマシー(コーディネーター)!(撮影可能なのは)上は鎖骨まで。下はくるぶしまで…」

 注文が細かいために、撮影は遅々として進まない。ICがマネージャーに「『一回、好きに動いてみたいので外に出ていってください』だそうです」と俳優の意思を伝える。

「俳優の意思を尊重するのがIC(の仕事)ですので…」

 ケイティは右往左往しながらも、最後にICとして俳優のために仕事をしたという自信を示した。まだあまり浸透しているとは言い難いICという仕事。撮影現場ではきっとこんな軋轢があるのだろうと思わせる展開。ICという専門職がドラマ撮影で必要な現状を示した画期的な登場だった。

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