DEAを欺いた「日本のヤクザ親分・エビサワ」は本物の闇商人だったのか? 米司法当局がウラン密輸容疑で追起訴 知人は「栃木県の2DKアパートに住むチンケな詐欺師」

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 またもやアメリカから「ジャパニーズ・ヤクザ・リーダー」のビッグニュースである。米司法当局は2月21日、ミャンマーの反政府組織と麻薬・武器商人を仲介しウランとプルトニウムの闇取引を計画したとして、エビサワ・タケシ被告(60)を追起訴したと発表した。押収したサンプルを検査したところ、核兵器に転用できる本物だったという。現地では有罪になれば「終身刑もありうる」と報道されているが、いったいエビサワの正体とは…。

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 この男が騒ぎになるのは2度目。2022年4月に初めて逮捕された時の容疑は、地対空ミサイルやAK-47の武器取引だった。だが、当時、それを聞いた日本に住む複数の知人が「アイツはヤクザの親分なんかじゃない」「栃木県の2DKアパートに住むチンケな詐欺師で、DEAはだまされている」などと証言したのである。(下記は2022年5月10日に配信した記事です)

DEAも騙されていた

 エビサワ・タケシ容疑者を逮捕したのは、アメリカの麻薬取締局、通称・DEAである。DEAはメキシコの麻薬戦争などにも介入してきた、世界最強の麻薬取締機関として知られる。

 エビサワ容疑者はタイ人の共犯者3人と共謀し、ミャンマーの反政府勢力に渡すために、米国製の地対空ミサイルやAK-47などの自動小銃を購入することを計画。対価として、ヘロインやメタンフェタミンといった覚せい剤のサンプルを米国内に密輸した。

 だが、取引相手だと思い込んでいた売り手は、DEAのおとり捜査員たちだった。DEAは、2年にわたる捜査を経てエビサワ容疑者らを逮捕。検察当局は、「日本のヤクザ幹部」「シンジケートのリーダー」を摘発したとして、写真入りの起訴状を公表したのだった。

 海を渡って飛び込んできたこの一報に騒然としたのは、日本の極道社会である。誰も「エビサワ」なる親分を見たことも聞いたこともない。警察当局も、暴力団員としてデータベースに登録がなかったため、「いったい、どこの組のエビサワなんだ?」という騒ぎに発展したのである。

家賃は6〜7万円

「そりゃそうなるでしょう。彼はヤクザになどなったことがない人間ですから。栃木県宇都宮市郊外の、家賃が6~7万円の2DKアパートに住んでいた詐欺師です。あまりにチンケな詐欺ばかり働いていたので、逮捕歴もないはずですよ」

 こう語るのは、エビサワ容疑者と20年来の親交がある知人A氏である。A氏が示してくれた男の自宅写真は、ヤクザ幹部が住むには似つかわしくない借家だった。車も、「20年落ちのボロ車を乗り回していた」という。

 米司法当局の裁判資料とは、あまりにも隔たりがある。A氏が示したパスポートの写しによると、本名は「海老澤剛」。年齢と顔写真も起訴状と同一であった。

「彼はろくに働いたことなんかありませんよ。中学を卒業後、父親が営む木工屋の手伝いをちょっとかじったくらいですかね。それも遅刻や欠勤続きで、最後は父親から『他の職人たちに示しがつかん』と追い出された。それからは、知り合いたちに片っ端から出資話を持ちかけては、カネを騙し取る人生を続けてきたんです」

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