現役の東大生が明かす ChatGPTで“バレない”レポート作成…代替の筆記試験に「情報社会に逆行」
世界中で試行錯誤
大学当局が懸念するように生成AIの文章作成能力は日進月歩の飛躍を見せている。
アメリカの有名SF誌「Clarks World Magazine」は昨年、AIを利用したと思われる応募作品が激増したことで、人間が執筆した作品との選別が困難になり一時的に投稿を中止した。
一方、日本の歴史あるSF小説賞「星新一賞」では、AI利用の作品「あなたはそこにいますか?」(著作・葦沢かもめ)が一般部門の優秀賞を受賞するなどAIを排除しない姿勢だ。今年1月に芥川賞を受賞した作家の九段理江さんは自著「東京都同情塔」について「5%ほど生成AIを使った」と打ち明け話題になった。
もちろん小説と学生のレポートは質が異なるが、それほどの勢いで生成AIが普及していることを示す好事例だろう。成績評価を前に生成AIの利用を個人的に禁止している大学教授が自信たっぷりにこう話す。
「授業の出席と授業内の活発な議論をベースに、期末レポートには授業内で配布した関連資料に登場したキーワードの解説を求めています。実際にChatGPTに打ち込んでも簡単には出てこないような、それほど難しい専門用語です。これなら学生たちも安易なレポートは出せません」
しかし、その一方で25年実施の大学入学共通テストから新たに「情報I」が出題科目に加わるなど文科省は文系、理系問わず情報に関する教育を各大学に求めている。
「確かに文学、社会学、人類学、言語学などで頻繁に参照される研究者の主要概念についてChatGPTは詳しく回答できないことがあり限界を感じますが、プロンプト次第ではかなり良質な文章を書いてきます。“丸写し”はもちろん言語道断ですが、ChatGPTの回答を検証し、そこに学生自身のオリジナルな問題提起や課題を盛り込んでいけば、見破ることは困難です」(大学講師)
先出の東大生は「ChatGPTによるレポート作成を防ぐため、レポート課題を取りやめて筆記試験を課すようになった先生もいます。急速に進む情報社会に逆行しているようで複雑な心境になりますよ」と冷ややかだ。
大学教員と学生のいたちごっこが深刻化しそうだ。