死者24人「逆噴射」機長の「精神鑑定」入院中の姿を撮影せよ 秘密兵器は「花火」だった

国内 社会

  • ブックマーク

K機長の雄たけび

 ババババッ。爆竹が鳴り、4~5本の打ち上げ花火が空を舞う。

 静まり返った病院の周辺に、その音は鳴り響き、狙い通り、病院の窓があちこち開き始める。すぐにK機長も窓際に現れた。

 しばらくして、「ウォーッ」という獣のような不気味な雄たけびが聞こえてきた。30メートル離れた位置でシャッターを押していた福田にも十分聞こえる声だった。

 あれがKか、と福田は何とも言えぬ気持ち悪さを感じていた。

 一方、突然の花火にどこからともかく「誰だーっ」と怒声が上がり、一目散にH記者は逃げ出した。

 当時の記事ではさすがにこの舞台裏を明らかには出来ず、「たまたま病院の近くで花火が始まる」といかにも偶然のように書いてある。

 が、実際には編集部の作戦による“必然”だったわけだ。

 ともあれ、狙い通りの写真が撮れ、作戦は大成功に終わった。実は、この日、作戦を聞いた福田は、「そんなのうまく行くのかな」と半信半疑だった。まさか本当に花火でKが出て来るとは思ってもいなかったのだ。

 ***

 24人もの死者を出した大事故だったが、K機長は精神病により心神喪失の状態にあったとされ、不起訴処分となった。罪には問われなかったのである。

 病院潜入や花火打ち上げといった手法は、令和の今ならば許されないものなのだろう。ただし、花火を打ち上げて撮影したというエピソードはのちに、福山雅治主演映画「SCOOP!」でも使われている。

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。