かつて「テイラー・スウィフト」の名が日本で浸透しなかった事情 トランプも白人層へのアピールに利用した過去

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アップルを動かした発言力

 テイラーの影響力については特筆すべきことがある。これは政治的なものではないが、2015年、アップル・ミュージックの「音楽配信サービス」にまつわる発言だ。

 当時、アップル・ミュージックは、サービスの登録者に3ヶ月の体験期間を設けており、テイラーはこれに疑問を投げかけた。無料期間中は、曲の制作者やアーティストらに使用料が支払われないことを受け、「タダで提供しろとは言わないで欲しい」述べたのだ。おそらく、レコード会社も含め、誰しもが疑問を感じながらも超大手のアップル社には言えなかったことだろう。それを結果的にテイラーが代弁したわけだ。

 アップル社はこのテイラーの訴えに慌てた。すぐさま上級副社長だったエディー・キュー氏がテイラーに直接連絡し「私たちは無料期間中もロイヤリティの支払いをします」と方針を変更した。この出来事は、当時日本では、あまり報じられなかったと記憶しているが、米国内でのインパクトは大きかったに違いない。

「言うべきことは言う」。

 テイラーからは、そんな強い意志と決意を感じる。それこそが彼女が支持される大きな要因となっていることは確かで、政治的な発言も、そんな彼女の一貫した姿勢のひとつの表れに過ぎないのかもしれない。

 ところで、テイラーだが、次回作では「フロリダ」というタイトルの曲を収録したアルバムをリリースし、今年後半はフロリダ州で集中的にライブコンサートを開催する予定だという。

 フロリダ州の投票の行方は、大統領選の行方を大きく左右するといわれている。政治専門のニュースサイト「ポリティコ」は、この情報に「テイラーはフロリダを青い(民主党の)州に変えられるか? 民主党は夢想する」と報じた。

 テイラーは、自らのラッキー・ナンバーを「13」だと断言している。ライブ前など、腕の甲には必ず「13」と言う数字を書き入れているという。彼女にとってはひとつの「おまじない」で、その理由を「何か行動する時、必ず『13』という数字が自分についてくるの」と語っている。たとえば、今回、テイラーの恋人が所属するカンザスシティ・チーフスがNFL王者に輝いた日も、開催日の「2」月「11」日を足すと「13」になる……といった具合だ。

 今回の大統領選をめぐっては、テイラーは誰を支持するのか。そして、どこに彼女のラッキー・ナンバーの「13」が登場するのか。実は筆者はそこが気になっている。

渡邉裕二(わたなべ・ゆうじ)
芸能ジャーナリスト

デイリー新潮編集部

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