日本のサル真似が4月危機を呼ぶ? 尹錫悦政権、総選挙目前に株もテコ入れ
尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が株価テコ入れに乗り出した。不動産対策と同様、4月の総選挙目当てだ。株価は上がったが、韓国の専門家の間では「日本のパクリ」と評判が悪い。政治と経済の間で揺れる「株式」を韓国観察者の鈴置高史氏が読み解く。
株の世界でも中国側
鈴置:2024年の韓国証券市場の出足は悲惨でした。KOSPI(韓国総合株価指数)は1月2日に2669・81を付けた後、3日の2607・31から12日の2525・05まで、8営業日連続で下げました。
機関投資家の買いにより1月15日は2525・95と少し持ち直しました。しかし、力はなく1月17日(2435・90)まで、再び落ち込んだのです。年初から日経平均が上げに上げた日本と対照的でした。
韓国では株安の原因は中国依存度の高さと見なされました。中国株も、中国と関連の深い香港株も同様に急落していたからです。韓国経済新聞の「中国依存度の高い韓国と香港の株式が下落、ボックス相場は2月まで続く」(1月15日、韓国語版)を翻訳します。
・1月15日、KOSPIと香港のハンセン指数は昨年末と比べそれぞれ4・87%、4・93%下落し、世界の20大主要証券市場でもっともさえない出発を見せた。中国の上海総合指数も2・98%下がり、3番目の下げ幅だった。
・一方、1月15日の日経平均は前週末比324・68円高い35901・79で引けた。昨年末と比べ7・28%上がった。この勢いに乗り最近、東京証券取引所の時価総額は上海証券取引所を追い越し、3年半ぶりにアジア1位に返り咲いた。
・台湾も堅実な姿を見せ、韓国の時価総額を追い抜いた。ウォール街は米国のS&P500種が今週中に市場最高値を更新すると展望する。
――金融の世界でも「韓国は中国側の国」と見られているのですね。
鈴置:その通りです。韓国経済の中国依存度は高い。中国の調子がおかしくなれば直ちに韓国も変調をきたします。実際、韓国の2023年の実質GDP成長率が25年ぶりに日本よりも低かった理由の1つが31年ぶりに対中貿易で赤字を出したことでした。
韓国では「中国は落ち目」との認識が広がっています。そんな中国とひとくくりにされるのは、韓国人にとって面白くない。もちろん、株価が棒下げに下げること自体も大問題です。ことに4月10日の国会議員選挙を控えた政権にとって。
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