日本人はなぜ桜が好きなのか――「世捨て人」西行も執着を捨てられなかった「桜への熱愛」

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 日本人が桜を愛好するようになったのは平安時代に入ってからといわれている。そして、その人気に拍車をかけたのが、平安末期から鎌倉初期にかけて活躍した歌人・西行(1118-1190)である。

 西行歌集研究の第一人者・寺澤行忠さんの新刊『西行 歌と旅と人生』(新潮選書)には、西行の桜への熱愛ぶりが紹介されている。同書から一部を再編集してお届けしよう。

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 桜はもともと日本列島に自生していたものであるが、特に吉野山には、他の山より多く山桜が自生していた。...

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