大谷翔平は今季、本気で30盗塁以上を狙い行くとは思えない…MLB専門家が指摘する意外な根拠

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ケガのリスク

 大谷のスプリントスピードが落ちたのは、年齢だけでなく筋肉が増えたことも影響したようだ。

 筋肉を落とし、もっと軽い身体になれば、盗塁数も成功率も確実に上がる。とはいえ、長打力も落ちてしまう。観客の度肝を抜くような大ホームランは減ってしまうかもしれない。何より懸念されるのは、ケガのリスクが上がることだ。

「大谷選手が筋肉をつけているのは、長打力のためだけではありません。ケガに強い身体になるからです。過去に30-30クラブを達成した名だたるスター選手も、長打力の維持とケガ防止のために筋肉を増量し、さらに年齢も加わって盗塁数が減っていったのです。盗塁は足からスライディングするので致命的な大ケガに発展することはないかもしれませんが、肉離れなど怖いケガの原因になります。大谷選手がケガのリスク増と30-30クラブの達成を秤にかけ、後者を選ぶとは考えられません。ましてやドジャースにとっては大金を投じて獲得した大スター選手です。ケガのリスクを増やすことは絶対に避けたいでしょう」

 そもそも今のドジャースは走り勝つチームではない。23年のチーム盗塁数は105で、全30球団の中で19位と下位に位置している。いわゆる“機動力野球”とは無縁なのだ。

「昨季、ドジャースとブレーブスは900得点を達成しました。800得点だけでも破格ですから、両チームの得点力は桁が違います。1試合で6点くらい取ってしまうので、盗塁の必要などないのです。MLBは試合時間の短縮を目指し、昨季から牽制の回数制限が始まりました。そのため、盗塁の成功率は極端に上がっていますし、ドジャースには盗塁ができる選手は少なくないのです。ただし、アメリカの野球サイトの多くは『ドジャーズに足の早い選手は揃っているが、シーズン終盤戦やポストシーズンにならないと盗塁はしない』と明記しています」(同・友成氏)

ドジャース広報の思惑

 ポストシーズン進出やワールドシリーズで世界一の座を争う大一番であれば、大谷も虎視眈々と盗塁の機会を窺い、成功すると判断すれば果敢に挑戦するだろう。

 だが、シーズンの盗塁王や30-30クラブの達成を目指して走りまくる姿は想像しにくいという。

「大谷選手は『重大な局面で盗塁が成功できるよう入念に練習しておこう』と考えているはずです。それが『今年の大谷は盗塁増を目指している』という方向で報じられたのは、ドジャース広報の意図的な戦略だったのではないでしょうか。“観測気球を上げる”と表現すると情報戦のような印象を与えてしまいますから、キャンプの話題作りのためメディアにネタを提供したというあたりが本当のところだと思います」(同・友成氏)

註:大谷翔平、走塁改革進行中 GM特別補佐「分析しながら手助けできれば」盗塁増と成功率アップへ(日刊スポーツ電子版:2024年2月14日配信)

デイリー新潮編集部

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