松山英樹 大逆転優勝は「すごい」の連続だった… 破格6億円の賞金獲得になった背景
米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊の名門リビエラCCで開催されたジェネシス招待を松山英樹が見事に制し、PGAツアーで通算9勝目を挙げた。松山の勝利は、日本はもちろん米国でもアジア各国でも世界でも、文句なしに絶賛されている。「何がそれほどすごいのか?」を一つ一つ見ていこう。【舩越園子/ゴルフジャーナリスト】
【写真】2021年マスターズで優勝した松山英樹。この時の賞金は207万ドル(約3億1000万円)
「打った瞬間、完璧だと思った」
まずすごかったのは、松山がサンデー・アフタヌーンに披露した大逆転ぶりだ。
最終日を首位から6打差の7位タイで迎えた松山は、出だしの3ホールで連続バーディーを奪い、後半へ折り返した10番から再び3連続バーディーを達成。終盤も15番からさらなる3連続バーディーを奪い、9バーディー、ノーボギーの快進撃で62をマーク。終わってみれば、2位に3打差を付けた大逆転勝利となった。
最終日の優勝争いで「3連続バーディーを3セット」という展開は大観衆を魅了するグレイト・パフォーマンスだったが、その中でも15番と16番の続けざまの「ベタピン」バーディーは圧巻だった。
パー4の15番では189ヤードの第2打をピン20センチに付け、続くパー3の16番では160ヤードのティショットをピン15センチに付け、あわやホールインワンの快打に大歓声が上がった。
「15番は(実質)184ヤードで左からアゲンスト。6番アイアンでカットして、打った瞬間、完璧だと思ったので、『付いてくれ』と(祈った)」と松山はホールアウト後のインタビューで振り返った。
祈りは通じ、ピンにぴったりついてイージー・バーディー。そして次なる16番と17番もバーディー獲得。すべての流れを掌握したかのような自信満々の笑みさえ浮かべた松山は、最終日の大会コースレコードとなる62をマークして見事に勝利した。
2023年はゼロ勝
まさに「すごい」の連続だった。
松山自身にとっても、今回の優勝はこれまでの不調を一気に覆す「大逆転」だった。2014年のメモリアル・トーナメントで挙げた初優勝を皮切りに、松山はこれまでメジャー1勝を含むPGAツアー通算8勝を挙げてきた。
だが、22年のソニーオープン・イン・ハワイを最後に勝利から遠ざかり、23年はゼロ勝。今季もこれまで5試合で最高位はファーマーズ・インシュアランス・オープンの13位タイと振るわなかった。
成績不振の直接的な原因は、肉体のあちらこちらに起きた故障だった。
「去年までは痛みがいつ出るかと不安ながらやっていましたが、今年はストレスフリーでできているのは良かったです。今週もほぼいい状態でできたので良かったです」(以下、松山)
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