【大川原化工機冤罪事件】「経産省の規制が多すぎて世界の動きに追従できない」社長が語る日本産業への危機感

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もっと自由にやらせるべき

 今回の判決はどう影響するだろうか。

「経産省が自由に規制できることを再確認させる判決にもとれます。規制するほうは自由で、企業はより縛られ、力がどんどんなくなっていく。同業者もますます規制が厳しくなると懸念しています。親しい業者には、どうすれば規制の対象にならないかといったことを伝えていますが、それを知らない業者は今後も(国の規制に)引っかかる可能性があります」

 その上で、日本の産業界の現状をこう危惧する。

「日本は規制が多すぎて世界の動きに追従できない。法令を遵守すればするほど、産業力、研究開発力は落ちる。省令などの法律が新しいことや他と違うことをする試みを潰すための口実になっている。『法律がこうだから守らなきゃいけない。やるなら規則を変えてから』という話ばかりで、開発が妨げられている。一番の問題は国がリスクを認めないこと。国などはすぐに『恐れがある』として規制するが、恐れがあるのは当たり前です。絶対ということはあり得ない。そこを認めない限り、日本の産業はよくならない。お役所は、われわれ企業、経営者を信用していないようです。信用した上で裏切られないように指導すればいい。それでも従わなければ罰すればいいのです。もっと自由にやらせるべきです」

粟野仁雄(あわの・まさお)
ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に「サハリンに残されて」(三一書房)、「警察の犯罪――鹿児島県警・志布志事件」(ワック)、「検察に、殺される」(ベスト新書)、「ルポ 原発難民」(潮出版社)、「アスベスト禍」(集英社新書)など。

デイリー新潮編集部

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