娘が生まれ「初恋の人妻」のことばかり思い出す47歳男性… SNSで再会を果たした後に待っていた悲しすぎる結末

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「ようやくパパになれたね」

 妻と母は競い合うように娘をかわいがっていた。景太郎さんは、ふたりが子育てについて争うこともあるのではないかと危惧していたが、それは杞憂だった。母は子どもの世話と愛情を注ぐことに専心し、躾に関しては映子さんに主導権をとらせていた。女ふたりは見事に棲み分け、それぞれ自分のポジションを勝ち得たのだ。

「そんなことも横目で見ながら、僕は父親のいない自分がどうやって父親として立場を築いていくべきなのかと悩んでいました。ふと、父や兄に会いたいなと思った。母に聞いてみたのですが、連絡先は知らないと言う。納得はできなかったけど、母がそう言うならしかたがないとも思いました。向こうが僕らを探しているわけでもないんだから、よけいなことはしなくていいと母が強く言うので、離婚後、何か母が神経を逆なでされるようなことがあったのかもしれません」

 子どもが生まれて初めて、家族って何だろうと思うようにもなったと景太郎さんは苦笑いした。母とふたりで暮らしていたときは、「家族とは」と考えることすら拒否してきたのだという。壊れた家族だという意識が強かったから。

「正直言って、僕が娘に慣れてきたのは4歳くらいになってからです。代休をとった日、母と手をつないで幼稚園に行く娘の後ろ姿を見たとき、たまらなく愛おしくなった。思わず追いかけて、娘を抱きしめました」

 もちろん、それまでもかわいいと思っていたし、かわいがってきたつもりでもあった。だが、どうしたらいいかわからないほど、身が震えるほど愛おしいと思ったのは初めてだった。それを見抜いた母が「あんたも、ようやくパパになれたね」と笑った。

「そのとき思ったんです。僕は母をある意味で恨んでいるんだと。離婚したから、僕は父とも兄とも接点をもてないままここまできた。そのことをしかたないと思いながらも、どこかで母を恨んでいた」

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