娘が生まれ「初恋の人妻」のことばかり思い出す47歳男性… SNSで再会を果たした後に待っていた悲しすぎる結末

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子どもが生まれ、喜ぶことができない自分に気づく

 結婚して5年がたったころ、母が定年退職した。その後はますます家の中を仕切るようになった。景太郎さんの知らないところで、母は映子さんによく嫌味も言っていたらしい。だが映子さんは大人だったから、表だって母とトラブルを起こすことはなかった。

「結婚して7年、映子が39歳のとき妊娠したんです。僕たちもびっくりしました。もうできないだろうし、できなくてもいいよねという話をしていたところだったから」

 元気な女の子が生まれて、誰より喜んだのは母だった。映子さんを抱きしめて「ありがとう」を連発した。今までごめんねと息子の妻に頭を下げてもいた。映子さんも「これからは女3代、仲良くやっていきましょうね」とはしゃいだ。

 それを見て、景太郎さんはなぜか一緒に喜ぶことができない自分を発見していたという。

「子どもが生まれたという神秘を、うまく受け止めることができなかった。この世に出てきて、くしゃくしゃな赤い顔で泣いている娘が、なんだかかわいそうになってしまったんです。命の重さに圧倒されていたのかもしれないけど、今まで感じたことのないようなある種の虚無感を覚えていた。そしてそのときなぜか僕は彩花さんを思い出していました」

 人生唯一の恋だったあのときのこと。そして彩花さんは今どこでどうしているのだろうと、彼は生まれたばかりの子を見ながら思っていたのだ。本人でさえどうしてなのかわからないと言っているのだから、他人である私が推測すらできるはずもないのだが、子どもが生まれてどこか外堀が埋められ、「ここ」から出ていけなくなったことを感じていたのだろうか。自由だったあの若い時代、経済的にはつらくても気持ちが解き放たれていたことを懐かしく思ったのだろうか。

「うーん……。やっぱりわからない。ただ、あの日、彩花さんのところで聞いた子どもの泣き声が自分の中で蘇ってもいたんです。といって自分の子と、彩花さんの子が重なったわけでもない。だけど子どもが生まれた日から、彩花さんのことはたびたび思い出すようになりました。映子はいい妻ですが、映子への気持ちは、彩花さんを愛した強い情熱とは違う。強いだけではなく、彩花さんとの関係の思い出にはどこか強烈なエロティシズムが漂うんです」

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