ソフトバンク・小久保新監督、巨大戦力に漂う“停滞感”から脱出へ 「支配下8枠争奪戦」で育成選手に好機到来

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「1軍戦力」と判断できることが昇格の最低条件

 かつての巨人ドラフト1位右腕で、一昨年には巨人で49試合に登板した実績を持つ7年目の鍬原拓也も育成枠で獲得、復活を期している。外国人の育成投手も2人抱えており、それこそ多彩な人材が顔をそろえている。

「だから、モチベーションは高いでしょうね。少なくとも、まず支配下を65にはしないといけないから、最低でも3人あるわけですよ」

 倉野チーフが評するように、この競争意識こそがチームを活性化するのだ。こうした激しい突き上げが起こることが、巨大戦力のメリットでもあるだろう。

「あまり下からいい報告が上がってこなくて寂しいですね」

 小久保新監督がそう語ったのは、2月12日のこと。ただそれは、ソフトバンクの場合、育成から支配下に昇格する時点で「1軍戦力」と判断できることが最低条件。キャンプ中盤の時点でそうそう簡単に「当確」を出すわけにもいかない。

 昨季の停滞感からの反省を生かした『8枠争奪戦』は昨季まで2年間、2軍監督を務めてきた小久保新監督だからこそ、育成選手の現状も熟知しているゆえの猛ゲキでもある。もっと激しく、がむしゃらに“空き枠”を狙いにこい。

 4年ぶりのV奪回へまずは4軍制を“フル活用”することが、ソフトバンク復権へのカギなのかもしれない。

喜瀬雅則(きせ・まさのり)
1967年、神戸市生まれ。スポーツライター。関西学院大卒。サンケイスポーツ~産経新聞で野球担当として阪神、近鉄、オリックス、中日、ソフトバンク、アマ野球の各担当を歴任。産経夕刊連載「独立リーグの現状 その明暗を探る」で2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。産経新聞社退社後の2017年8月からは、業務委託契約を結ぶ西日本新聞社を中心にプロ野球界の取材を続けている。著書に「牛を飼う球団」(小学館)、「不登校からメジャーへ」(光文社新書)、「ホークス3軍はなぜ成功したのか」(光文社新書)、「稼ぐ!プロ野球」(PHPビジネス新書)、「オリックスはなぜ優勝できたのか 苦闘と変革の25年」(光文社新書)、「阪神タイガースはなんで優勝でけへんのや?」(光文社新書)

デイリー新潮編集部

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