ソフトバンク・小久保新監督、巨大戦力に漂う“停滞感”から脱出へ 「支配下8枠争奪戦」で育成選手に好機到来
和田毅が認めたガッツマン
松山秀明2軍監督も、その効果を強調する。
「目の前にチャンスがあるわけですからね。そりゃ、頑張りがいがあるでしょう。A組で来ている選手とか、特にピッチャーなんかはチャンスがあるでしょうから」
A組の野手3人は、ファームでもコンスタントに成績を出してきた。
内野手の仲田慶介は福岡大出身の3年目。昨季までは外野手登録で、内外野ならどこでも守れる器用さを持ち、スイッチヒッターでもあるだけに、ユーティリティプレーヤーとしてなら、1軍枠に入り込める“便利さ”がある。さらに育成選手の練習ぶりなどに関し、契約更改後の会見で苦言を呈した和田毅が、ハングリーさの見える選手として唯一「仲田君くらい」と名前を挙げたほどのガッツマンだ。
緒方理貢は駒大出身、4年目の外野手で一昨年にはウエスタン・リーグで17盗塁をマークして盗塁王。仙台大出身の3年目外野手・川村友斗は、その長打力で昨春のオープン戦は1軍帯同。12試合で打率3割5分7厘をマークしたが、惜しくも支配下登録は逃した。
左打者の川村にとっては、近藤健介、柳田悠岐、柳町達、中村晃、栗原陵矢のレギュラー格に、2年目の生海と、左打者の“牙城”を崩すのは至難の業だが「背番号が2ケタにならないと、何も始まりませんから」と今度こそ、とばかりに意気込みも荒い。
小久保監督がポテンシャルを評価する右腕
A組投手で育成からただ1人抜擢された中村亮太は、一昨年に育成から支配下登録され、1軍でも2試合に登板を果たしたが、昨季は育成に逆戻り。
それでもイニング途中からの救援やイニングまたぎもできる貴重な中継ぎ右腕で、昨季はウエスタン・リーグで53試合に登板。小久保新監督は2軍監督時代からこの右腕のポテンシャルを高評価しており、支配下復帰へ向けての再チャンスが巡ってきている。
さらに、B組野手での注目株は、育成ドラフト1位ルーキーの外野手・大泉周也。独立リーグの福島レッドホープス監督で、元メジャーリーガーの岩村明憲監督から指導を受けて長打力に磨きが掛かり、宮崎キャンプでも王貞治会長らが注目した期待の左打者だ。
11人を数える投手でも、身長189センチの長身左腕で、昨季9月のウエスタン・リーグでの初先発で4回1/3で6奪三振と小久保新監督をうならせた前田純、慶大4年時にトミー・ジョン手術を受けた左腕・佐藤宏樹は4年目で、台湾のウィンターリーグにも参戦。慶大時代にはドラフト1位候補との評判を取った実力を取り戻しつつある。
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