定番の「銘菓」には“地雷”が…地方移住したネット編集者が明かす、最も喜ばれた「東京出張のお土産」

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半強制的に伝える

 一人目の主婦・Aさんは「食べたことはないですが、聞いたことはあるので気になります」と言い、もう一人のアウトドア会社経営者・Bさんは「神奈川に住んでいたことがあるので懐かしいです」。

 2組の6人家族に3箱(45個)ずつを渡したのだが、さすがに食べ盛りの子ども達がいる一家。両家ともペロリとすぐにたいらげたそうだ。たいそう喜んだという丁寧なメッセージももらった。やはり、お土産というものは「甘いものを渡せばいい」ということではないのだ。

 何よりも「その人が欲しいもの」を渡す必要がある。今回私は崎陽軒のシウマイを渡したが喜んでもらえた。ヘンに甘いものを渡さないで良かった。それと同時に、冒頭で述べたようにグルテンフリーやら糖質オフの風潮があるだけに甘いものを前提にする必要はない。お土産の本質は「本当に好きなものを渡す」にある。そのためには、安易にその土地のスイーツを買うのではなく、電話をして、「これを買うけど欲しい?」と半強制的に伝えた方がいい。

年末にスイカで大喜び

 さらに、お土産とは別なのだが、「突然何かを送る」という技もある。私の地元・唐津に何度も来ているコピーライターのこやま淳子さんという人がいるのだが、彼女は唐津の「川島豆腐店」の豆腐と豆腐プリンをいたく気に入った。

 私が同店の前を通った時に、地方発送を受け付けていることを知ったのでこやまさんに送った。すると「私を気にかけてくれていたのね!」と喜んでもらえたのである。このように、「甘いものを渡せばいい」というのは短絡的で、その人と結び付けたほうがいい。

 あと、この手の贈り物もアリだな、と思ったのが、2023年末にスイカを贈呈してもらったことだ。相当儲かっている中小企業の社長から送ってもらったのだが、正月に皆でスイカ割りをしたら子ども達は大喜び。贈り物というものは、定説に従わず、誰が喜ぶか、を考えて贈るべきである。それがあなたの価値を高めるのである。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『よくも言ってくれたよな』。最新刊は『過剰反応な人たち』(新潮新書)。

デイリー新潮編集部

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