【冬ドラマ】「世帯視聴率」「個人視聴率」トップ10を比較すると…“爆死扱い”のドラマが浮上する背景

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世帯視聴率の欠陥、限界

 世帯視聴率の最大の欠陥は高齢者が好む番組ほど高視聴率になってしまうこと。「サンデーモーニング」もそう。理由は単純。高齢者世帯が多いからである。当然、サンプル世帯も高齢者世帯が多い。厳正な調査ほど世間の傾向がダイレクトに出る。

 世間はここ30年ほどで大きく変わった。1990年の時点では65歳以上の高齢者のいる世帯は全体の26.9%に過ぎなかった。4分の1だ。しかし、2019年の段階で49.4%にまで上昇。全体の約半分である。その後も高齢者世帯は増え続けている(内閣府調べ)。

 ここまで人口構成に偏りが生じると、世帯視聴率に影響が出ないほうがおかしい。

「世帯視聴率ランキングの上位には高齢者向けではない作品が並んでいるじゃないか」との声が上がるかも知れない。だが、上位のドラマであっても数字は低い。10%超えは「さよならマエストロ」のみ。高齢者が手放しで歓迎するドラマがないに等しいからだ。

 高齢者向けのドラマをつくったら、おそらく今も高い世帯視聴率を記録することは可能。例えば2時間サスペンスやストレートな刑事ドラマである。しかし、それでは若い視聴者の支持が得られない。スポンサーも嫌がる。

「世帯視聴率10%超が合格」は不毛な考え方

 10%超え作品がかつてより激減した理由にはテレビ離れやデジタル録画機器の普及もあるが、ボリュームゾーンである高齢者の食指が動く作品がほとんどないことが大きいのである。

 昨年10月に始まったため、世帯視聴率ランキングからは除外したが、テレビ朝日「相棒22」(水曜午後9時)は高齢者のウケがいい。だから世帯視聴率は良く、2月7日放送は11.0%をマークした。冬ドラマで世帯視聴率1位の「さよならマエストロ」を超えている。

 しかし、「相棒22」は若い人にあまり観られていない。コア視聴率は2.5%と平凡である。世帯視聴率6.6%の「新空港占拠」はコアが3.4%だから、「相棒22」を超えている。

 世帯視聴率7.5%の「となりのナースエイド」はコアが2.7%なので、やはり上。さらに世帯視聴率5.2%で11位の日本テレビ「厨房のありす」(日曜午後10時半)もコアは2.5%(11日放送の第4回)だから、「相棒22」とぴったり並んでいる。

 高齢者と49歳以下、T層とF1層では観たい作品が違う。世帯視聴率という1つの物差しで全てを測ろうとすることに無理があった。「世帯視聴率が10%を超えないと合格とは言えない」といった考え方も不毛だったのである。テレビパーソンはそんなことは考えていない。世代や性別によって好みの作品は違うのだから。

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