ソフトバンク・山川穂高は「やっぱり凄いですよ…」 敵情視察したライバル球団の「007」は“困惑の色”を隠せなかった
「いやー、やっぱり凄いですよ」
「お客さんの拍手で一番、彼は救われたんじゃないですか? いろんな思いでホークスのユニホームを着て、初めて外のフリーバッティングで『これぞプロ』というものをしっかり見せつけて、それの評価に対する拍手でしょうからね」
現役時代、王監督の率いるホークスで、移籍した巨人で「4番」を張ってきた小久保裕紀監督も、山川が実力で見せつけた「存在感」に納得顔で頷いていた。
これは、やっぱり本物だ――。
ネット裏で、山川の“再チェック”に目を光らせていたのは、オリックス・曽我部直樹スコアラーだった。オリックスは3月29日からの今季開幕カードで、本拠地・京セラドーム大阪にソフトバンクを迎えることになっている。その開幕3連戦の分析担当を命じられ、早くも敵情視察に訪れていたのだ。
「いやー、ちょっと球が緩くなって甘いところに来たら、もう間違いなくスタンドまで持って行かれますね。それだけの技術があります。いやー、やっぱり凄いですよ」
ライバルの007も、困惑の色を隠せない。
打線の破壊力は格段にアップ
昨季まで所属していた西武では、女性問題の発覚後、公式戦出場停止処分を受けていたため、昨年5月11日を最後に1軍の試合からは遠ざかっている。しかし、そんなブランクすら感じさせないほどの“快振連発”だった。
さらに、巨人からは高橋礼、泉圭輔の2投手との交換トレードで、アダム・ウォーカーを獲得。山川と合わせると、右の長距離砲2枚加わったことになる。
内川聖一が2020年、松田宣浩も2022年にソフトバンクを去り、昨季まで4年連続でウエスタン・リーグの本塁打王を獲得しているリチャード、2020年のドラフト1位・井上朋也ら、若手内野手に台頭の気配は見え始めているものの、ソフトバンクはここ数年、中軸を務められる右打者の不在が泣き所だった。
しかし、山川とウォーカーが額面通りに働いてくれれば、打線の破壊力はそれこそ格段にアップする。昨季のパ・リーグ最多安打・柳田悠岐、本塁打と打点の2冠王に輝いた近藤健介を含めた4人の通算本塁打の総計は「585本」という、まさに驚異の破壊力だ。
この柳田、近藤の左2人が絡まって「ジグザグ打線ですかね」と曽我部スコアラー。その組み合わせを考えるだけでも、ファンにすれば夢があり、敵にすれば実に厄介だ。
「4番は山川ですかね。6番がウォーカーかな? そうすると、ギータが5番で近藤が3番。いや、2番柳田とかもあるんですかね? 栗原(陵矢)とかもいるでしょ? 今宮(健太)とか、8番くらいですか? ホント、どうするんでしょうね?」
曽我部スコアラーにしてみれば、その新打順を予測するだけでも厄介な作業だろう。
それこそ、どこからでも一発が飛び出す。左・右・左・右で中軸を組まれると、継投のタイミングや投手起用をシミュレートするのも一苦労だろう。
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