二階元幹事長、書籍代3500万円のカラクリ 自分の「ヨイショ本」を「お土産」にするサービス精神

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パーティーのお土産

 大量購入されていた書籍17点のうち、政治家の著作もあった。羽田内閣で自治大臣などを務めた故・石井一氏、安倍内閣で拉致問題担当大臣を務めた、参議院議員の山谷えり子氏、元衆議院議員の松浪健四郎氏の3人だった。

 ベテランの政治記者は「全国紙やテレビ局の政治部記者なら誰でも知っているはずなのですが、派閥の政治資金パーティーに出席するとお土産が配られます」と言う。

「例えば岸田派のパーティーでは、岸田文雄首相が使っているのと同じ型の『岸田ノート』が配られて話題になりました。そして二階派のパーティーでは、お土産の中に二階さんについて書かれた書籍が入っていることが珍しくありませんでした。書籍といっても、客観的なノンフィクションなどではありません。二階さんの協力で作られたことは明白な、いわゆる“ヨイショ本”の要素が強い書籍です」

 パーティーのたびに、配られる本は変わったという。

「名の知れたノンフィクション作家や政治評論家の著作もあり、これは強く印象に残りました。出版社の名前やISBNコード(国際標準図書番号)が明記された、一般的な意味での書籍だけでなく、私の勘違いでなければ、書店での流通を意図しない、いわゆる“私家版”のような本も配られた記憶もあります」(同・ベテラン記者)

《印象操作はやめましょう》

 和歌山県の地方紙・紀州新聞(電子版)は2019年5月、「二階派パーティー 5千人の大盛況 幹事長の勢い示す」との記事を配信。都内のホテル・ニューオータニで開かれたパーティーに支持者など5000人が出席したと伝えた。

 この5000人に定価2000円の書籍を土産に持たせたとしたら、書籍代は1000万円という金額になる。3年間に3回のパーティーを開けば3000万円だ。「3年間で3500万円」という数字と比較すると、なかなか興味深い。

 ベテランの政治記者は「当たり前ですが、たとえ二階さんが書籍を大量に購入し、関係者に配っていたことが事実だとしても、それだけで批判を免れるということはあり得ません」と釘を刺す。

「そもそも政治家が派閥を作り、政治資金を集めるためにパーティーを開き、その出席者に“ヨイショ本”を配るということ自体に有権者は呆れています。とはいえ批判は正確に行うべきです。しんぶん赤旗の社会部長はXで二階さんの書籍代に触れ、《1冊3000万円した統一協会の「聖本」でも買ったのかと思いましたよ》と揶揄しました。これには事情を知るジャーナリストが配るための本だと指摘し、《印象操作はやめましょう》と苦言を呈しました。当然の指摘でしょう」

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