ついに調査チーム設置 「セクシー田中さん」原作マンガとドラマを“徹底比較” なぜ日テレは「セリフがない4人の登場人物」を配役したのか

エンタメ

  • ブックマーク

「見せ場がない」人気俳優たち

 これらのキャラクターは、原作には存在していない。

 確かに原作漫画にもベリーダンス教室のクラスメイトは出てくるが名前はなく、セリフもほぼない(コミックス第1、3、4巻に短い一言があるだけだ)。ストーリーの展開にも関わっていない。

 そのため基本的に原作に沿っているドラマ版でも出番は非常に限られていた。そのセリフの数を調べてみたが、短いセリフが1話に1〜2個あるかどうかで、放送回によってはセリフが無い。もともとこの役には「見せ場」はないのだから、本来ならテレビ局側も著名人にはオファーを出さないはずだ。

 それなのにドラマではオリジナルの役名が与えられ、人気俳優らが配役されている。なぜなのか。

 私がテレビ局員だった頃の記憶から考えたのは、次のような可能性だ。

「原作者に『原作に忠実にする』と約束して映像化を許諾してもらうよりも前の時点で、テレビ局側は原作の改変ありきで勝手に役を作り、キャスティングをしてしまっていた」

 この時もし俳優の芸能プロダクションから「原作にないキャラクターですけど、大丈夫なんですか」と質問されたら「いや、ここは脚本家に原作をふくらませてもらうんで大丈夫です」などと答え、製作が始まったら脚本家に原作をアレンジさせて俳優の出番を作り出せばいい。テレビ局のプロデューサー側はそう考えて、原作者の条件が決まる前に「見切り発車」した。

真相を知っているのはプロデューサー

 しかしいざ脚本作りが始まってみると原作者が粘り強く脚本を原作に近づけ、その結果、原作にないキャラクターを割り当てられた俳優たちは出番を失い制作サイドの「見切り発車」に巻き込まれてしまったーー。そんな可能性はないだろうか。

 もしそうだとしたら、プロデューサーがしたことは順番を間違えている。

 本来であれば最初に原作者との間で条件を決め、その後に全てが動き始めなければならないはずだ。だがこれを無視してこっそり役を作りキャスティングを先行させれば、プロデューサー側は既成事実を作ることができる。そうすると外堀を埋められ独り残された原作者は、これを跳ね返すのが容易ではなくなる。それは原作者の泣き寝入りを狙うシステムのように思える。

 そして芦原さんは作品を守るため、こうした企てと闘い続けたのではないか。

 勿論これは、原作漫画とテレビドラマを改めて見比べてみた結果の単なる推測だ。真相は分からない。ドラマを製作したプロデューサーだけが、その真相を知っている。そしてそれこそが、今回の調査で明かされなければならないブラックボックスの一つではないか。

次ページ:テレビ局の責任

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。