ついに調査チーム設置 「セクシー田中さん」原作マンガとドラマを“徹底比較” なぜ日テレは「セリフがない4人の登場人物」を配役したのか
ようやく日本テレビが動いた。ドラマ「セクシー田中さん」の原作者である漫画家の芦原妃名子さん(享年50)の急死を受け、2月15日、社内特別調査チームの設置を発表したのだ。テレビドラマ化に当たっての原作漫画の改変がクローズアップされているこの問題で、日テレは今後、何を調査し、何を明らかにすべきなのか。その課題を確認するため、私は改めてドラマと原作を徹底比較してみた。すると見えてきたのは、ある奇妙な事実だった。(元テレビ朝日法務部長・弁護士 西脇亨輔)
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日テレは何を調査すべきなのか
1月29日の芦原さんの死から半月以上が経過してようやく決まった日テレの社内特別調査チーム設置。その発表文には「新たに外部有識者の方々にも協力を依頼した上、ドラマ制作部門から独立した社内特別調査チームを設置することにいたしました」と書かれている。
ではこの「社内特別調査チーム」は何を調査するべきなのか。発表文には「早急に調査を進め、真摯に検証し、全ての原作者、脚本家、番組制作者等の皆様が、より一層安心して制作に臨める体制の構築に努めてまいります」とあるのみで、調査対象が明示されていない。
このことを考えようとして、ふと思い当たった。これまでこの問題については多くのメディアで様々な意見や指摘が出されてきた。しかし実際にドラマ版『セクシー田中さん』と原作漫画を比較して両者の違いがどの程度かという事実を確認する作業、いわゆる「ファクトチェック」はあまり行われてこなかったのではないか。
そこで私は改めてドラマと原作漫画を比較してみることにした。ドラマは全10話、原作はコミック1~7巻と雑誌「姉系プチコミック」掲載の最新話をあわせると15幕(話)ある。これらの内容を一つ一つ見直した。
するとまず気付くのは、ドラマ版の内容は原作にかなり忠実になっているという事実だ。
原作には存在しない「4人の登場人物」
ドラマの1話から7話までは、多少順序の変更はあるが原作コミックの1巻から6巻途中までにほぼ忠実で、原作漫画の名シーンも多くが再現されていた。ドラマ8話以降は原作が未完のためオリジナルの要素が増えるが、コミック6巻後半以降の要素も多く反映されている。
こうしてみる限り、最終的に完成したドラマの内容は、原作者の意向がある程度形になったものだったのではないか。
しかしそうした形でドラマが完成するまでの「制作の過程」はどうだったのか。実は原作とドラマを比較する中で、ある違和感を覚えた。
おかしな役が、ある。
原作は主人公「田中さん」とこれを慕う後輩女性、そして周囲の4人の男性が軸となっている。それ以外の登場人物はあまり多くない。ところが番組の公式ホームページをみると「人物相関図」の中に見慣れない名前が4つ並んでいた。
「景子」「アリサ」「絵麻」「花梨」。ベリーダンス教室のクラスメイトで、「アクティブな性格でピラティス、ワイン教室にも通っている」「スーパーのレジ打ちのパートをしているが、子育てがひと段落ついた」などのキャラクター設定も掲載されている。そしてこれらの役には乃木坂46の元メンバー生駒里奈さんやファッションモデルなどの著名人が起用されていた。
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