【朝日杯】藤井聡太八冠が敗れる 勝った永瀬拓矢九段が色紙に「聡」と書いた意味

国内 社会

  • ブックマーク

永瀬が色紙に「聡」の文字

 永瀬は昨秋、藤井に王座のタイトルを奪われ、藤井は八冠を達成した。記者会見で「借りはどのくらい返ししましたか」と問われた永瀬は「(王座戦で)3敗したので、1番返して33%」などと話した。

 晴れの表彰式で永瀬は、自ら抽選で選んだ会場の将棋ファン4人に揮毫色紙をプレゼントした。なんと、その色紙に書かれていたのは「聡」の一文字。司会の女性に意図を問われた永瀬は「この字は人の話をよく聞くという意味があるらしいんです。藤井先生のように人の話をよく聞くようになりたいので」と答えた。

 記者会見で筆者が「藤井さんは色紙のことを知っているのですか」と訊くと「もう何回も見せていますよ、何回も」と答えた。さらに「仲の良いお二人ですが、藤井さんに『拓』と揮毫してくださいなんて言わないのですか?」と向けると「尊敬する藤井さんなので、そんなことは言いません」と永瀬。ここは藤井の反応を訊くべき愚問であった。
(一部、敬称略)

粟野仁雄(あわの・まさお)
ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に「サハリンに残されて」(三一書房)、「警察の犯罪――鹿児島県警・志布志事件」(ワック)、「検察に、殺される」(ベスト新書)、「ルポ 原発難民」(潮出版社)、「アスベスト禍」(集英社新書)など。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。