全国3位でも宇都宮は「餃子の街」 「順位は関係ない」と語る揺るがぬプライドの源

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 総務省が今月6日に発表した2023年の家計調査で浜松市が「餃子日本一」の座を3年ぶりに奪回した。3連覇を狙った宮崎市は2位。長年、浜松市と首位を争ってきた宇都宮市は3位に後退した。だが宇都宮市は「わが街こそが餃子の街」と、そのプライドはわずかも揺らいでいないという。自信の源はどこにあるのか。

 調査の対象は、1世帯がスーパーや餃子テイクアウト専門店で購入した生餃子や焼き餃子などの金額。冷凍餃子や飲食店などからのテイクアウトは含まれない。浜松市は4041円。宮崎市は3498円だったが購入頻度では1位だった。

 一方、宇都宮市は3200円。3位転落は21年以来2年ぶりで、日本一からは3年連続で遠ざかる形となった。10年まで15年連続1位を独走し、浜松市との覇権争いが定着して以降も13、17、19年に日本一となった東の雄が3年連続で日本一を逃すのは、14~16年以来のこと。しかし14~16年は常に浜松市を脅かす2位だっただけに、この3年の3、2、3位という順位に危機感を覚えそうなものだ。

「順位は関係ない」と宇都宮餃子会

 だが「宇都宮では餃子は外食として食べる文化が昔からある」と、危機感を否定するのは「協同組合宇都宮餃子会」の鈴木章弘専務理事兼事務局長だ。

 宇都宮市観光交流課などによると、宇都宮に餃子が根付いたのは、陸軍第14師団の司令部が同地に置かれ、中国出兵からの帰郷後に、現地で知った餃子が広まったことがきっかけ。内陸部で寒暖差の激しい気候でスタミナをつけるメニューとして人気が高まったともされる。

 外食文化としては、「みんみん派か正嗣派か」との会話も繰り広げられるほどの人気店「みんみん」「正嗣」のほか、数多くの餃子専門店があり、学校帰りや仕事帰りに安価な焼き餃子や水餃子を食べる姿も多く、ファストフード的にも親しまれてきた。

 1993年に結成された宇都宮餃子会には現在、80を超える店が加盟店に名を連ねるほか、組合直営の「来らっせ」内には人気の常設店、30種類の餃子が日替わりで楽しめる日替わり店舗、餃子やグッズが充実した土産コーナーがあり、多くの観光客でにぎわう。

 宇都宮市の22年の観光動態調査では1100万人弱の観光客のうち、6割以上が餃子を食べたという。人気の「みんみん本店」では週末ともなると3時間待ちの行列はざら、新型コロナ明けを間近に控えた昨年5月の大型連休時には7時間待ちという驚異の行列ができるなど、多数の観光客が餃子を目的に同市を訪れている実情がある。

 外食産業におけるこうした人気から「(家計調査の)順位が関係ないのは明白だ」と鈴木氏は断言。食べるだけでなく、市内の「餃子通り」や、モニュメントや餃子モチーフの街灯など、「餃子を感じられる街づくり」で「餃子の街」としてのさらなる歩みを進めるという。

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