株式市場の時価総額が世界4位に…インドが歩む「第2の中国」への道に暗い影を落とす“宗教問題”

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急速に進む「宗教国家」化

 2月11付日CNNは「モディ首相の『聖なるインド』構想、宗教的少数者が疎外される恐れ」と題する記事を掲載した。記事が問題視したのは、モディ氏が1月22日、ウッタルプ ラデシュ州のヒンズー教の聖地アヨディヤで、ヒンズー教寺院の開設式典を自ら執り行ったことだ。同州ではヒンズー教徒とイスラム教徒が長年対立を続けている。

 モディ氏は総選挙を前に長年の公約(聖地にヒンズー教の寺院を建立)を果たしたつもりだっただろうが、海外を中心に「インド建国以来の理念(世俗主義)が大きく後退してしまった」との懸念が広まってしまった。

 CNNは「この式典以降、免罪符を得た右派のヒンズー教徒は2億人を超える宗教的マイノリティーへの攻撃を激化している」と伝えるとともに、インド植民地時代の負の遺産に対する破壊者を自認するモディ氏への警戒感も露わにしている。

「第2の中国」として期待されるインドだが、急速に進む「宗教国家」化が最大の障害になってしまうのではないだろうか。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

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