株式市場の時価総額が世界4位に…インドが歩む「第2の中国」への道に暗い影を落とす“宗教問題”

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躍進ぶりを象徴する株式市場

 インド政府は1月29日、2024年度(24年4月から25年3月)の経済成長率は7%前後となり、数年間はこのペースを上回る可能性があるとの見通しを示した。安定した内需などを支えに高い成長率を維持できるというのがその理由だ。

 国際通貨基金(IMF)もインド経済について楽観的だ。1月30日に発表した報告では、25年度の経済成長率は6.5%で翌年度も同水準になるとしている。

 インド経済の躍進ぶりを象徴しているのは株式市場だ。株式市場の時価総額は昨年11月、4兆ドル(約570兆円)を突破し、8年連続の上昇を記録した。今年1月下旬には香港を抜いて世界第4位に躍り出ている。

 何百万人もの若いインド人たちがスマートフォンを駆使して積極的に投資し、インドの株式市場の急成長を支えている。こうした国民は急増しているものの、世界最多の14億人という人口と比較すると少ない。伸びしろがあるため、一般的な予測では「市場の将来性はバラ色」だ。

 インドの株式市場は低迷が続く中国に代わって急成長する市場とみなされるようになっており、海外からの資金流入も急拡大している(2月6日付ロイター)。

日本企業にとってもインドは魅力的

 ナレンドラ・モディ首相が率いる政権は2月1日、24年度の予算案を発表した。歳出は前年度比6%増の約48兆ルピー(約85兆円)と抑制気味だが、今年4月から5月にかけて実施される総選挙を見据え、低所得層への現金支給策を打ち出すなど有権者の支持獲得を目指している。

 総選挙ではモディ氏が率いる与党インド人民党(BJP)の勝利が確実視されており、「従来の政策が踏襲される」との観測もインド経済にとって追い風だ。

 日本企業にとっても旺盛な国内消費が見込めるインドは魅力的だ。昨年のインドの新車販売台数は約508万台と2年連続で日本を上回ったことから、日本の自動車企業のインド進出が加速している。

 人口が世界一となったインドでは製鉄所建設ラッシュも起きている。インド政府は2030年に生産能力を3億トン(2015年に比べて2.5倍)に引き上げる計画を有しており、日本製鉄は「インドで高度成長の夢再び」とばかりに野心的な進出計画を立案している(2月5日付日本経済新聞)。

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