4歳の我が子を“毒殺容疑”で両親が逮捕 「浅草20億円資産家ホテル経営一家」で起きていた「もう1人の不審死」
子供が誤飲するはずのない「薬物」
だが、夫妻の説明には現場の状況と比べて不自然な点があった。
「警視庁は事件性があると疑い、遺体の司法解剖を実施。すると子供が誤飲するはずのない、オランザピンという抗精神薬の成分に加え、エチレングリコールという毒性物質まで検出されたのです」(同)
エチレングリコールは不凍液やブレーキ液などに使われるアルコールの一種で、人が大量に摂取すると腎障害を起こすなどして死に至る危険な毒物。水に溶けやすく甘味があり、過去に殺人や動物虐待事件で使用されたことがある。
さらに美輝ちゃんには児童相談所に一時保護を受けた過去があることもわかった。数年前、志保容疑者は美輝ちゃんのいる前で、自宅に火をつけるボヤ騒ぎを起こしていた。
夫妻には他に2人の子供がいたが、事件後に児童養護施設に保護された。警視庁は夫妻以外に美輝ちゃんに薬物を摂取させた犯人はいないとみて捜査を開始。昨年8月末頃、自宅などを家宅捜索するとともに夫妻の任意聴取に踏み切った。だが、2人とも関与を認めず黙秘。そのまま自宅で2人きりの生活を送っていた。取材班が夫妻のお出かけデートを目撃したのは、任意の事情聴取があった約2カ月後のことである。
次女の死で浮上した「第二の事件」
警視庁が時間をかけて捜査してきたのにはワケがあった。
「18年4月にも、実家で暮らしていた健一容疑者の姉であるMさんが薬物中毒のような症状を起こして亡くなっているのです。警視庁がMさんの死にも2人が関与した可能性があると見て、並行して捜査を続けていた」(同)
Mさんは不審死した当時は事件性がないと判断され、行政解剖しか行われなかったという。
「それもあって『第二の事件』として着手できるかどうかはまだ分かりません。一方、美輝ちゃんの事件については、警視庁は様々な状況証拠を固めており、起訴に自信を持っている」(同)
気になるのは犯行動機だが、警察は美輝ちゃん殺害については志保容疑者の育児ノイローゼが原因とみているという。一方、Mさんの不審死にも夫妻が関与していたとするならば、考えられる動機は「相続」だという。
「18年の1月と6月に、健一氏の父母は立て続けに亡くなっていますが、Mさんが不審死したのはその合間の4月です」(同)
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