「セクシー田中さん」問題の対応で見えた日テレの限界 「責任逃れしてスタッフを庇っているようにしか見えない」

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有働キャスターも…

 テレビ朝日を経て現在はフリーのテレビプロデューサーである鎮目博道氏に聞くと、

「今回の件でわだかまりが残るのは、日テレ側のコメントがまったく足りていないこと。事実関係を調査して説明すべきところを型通りなコメントしか出していません。会社としての責任逃れ、自分たちのスタッフを庇っているようにしか見えないのが残念です」

 皮肉なことに、日テレが放送するニュース番組「news zero」では、キャスターの有働由美子(54)が“(関係各所の)調査は誠実に、慎重にすることが大事”と語り、世間から拍手喝采となったのだ。

「視聴者からすれば、日テレの公式見解だけでは何が起こったのか分からない。スポンサーや株主の目を気にして丸く収めたいという強い気持ちから、保身にも聞こえるコメントになった可能性がある」

 そう指摘するのは、『混沌時代の新・テレビ論』を上梓した元テレビ東京プロデューサーで、桜美林大学教授を務める田淵俊彦氏。

主役の性別が変えられることも

「基本的に原作モノを忠実に映像化するのはテレビでは限界があります。漫画では描けたこともコンプライアンス的にカットしないといけないシーンが出てきます。またドラマ制作ではラブ、サスペンス、ヒューマンの三つの要素を入れないと視聴率が取れないといわれています。どんなにヒューマンに偏った原作でも、ラブやサスペンスの要素を加えて、少しでも視聴者の間口を広げようとする。また芸能事務所や局の編成などが要望を出してくれば、内容も変わってくる。大物女優の出演が決まったとなれば、主役の性別を原作と変えてしまうこともあるのです」

 諸々の限界がある以上、日テレは経緯を検証して今後に生かさなければ、再び同じ轍を踏むことになろう。

 当の日本テレビに見解を求めたが、期日までに回答はなかった。

 一昨年に過去最高益を記録した日テレHDは、今月に入って7年ぶりの水準まで株価が急騰。ストップ高となった日もあると聞けば、なおさら不遜なコメントは許されまい。

週刊新潮 2024年2月15日号掲載

ワイド特集「それはないよ」より

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