またもテレ朝の弱点が露呈…「マルス-ゼロの革命-」の不振は深刻、道枝駿佑主演で視聴者はなぜ離れたのか

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新聞の世帯視聴率離れ

 もっとも、テレビ界とスポンサーが使わない世帯視聴率によって、ドラマに評価が下される時代はそろそろ終わりそうだ。産経新聞は1月18日付紙面から「週間視聴率ベスト10」を「週間個人視聴率ベスト10」に切り替えた。

 産経の同日付の紙面にはこう書かれている。

「番組の評価指標とされてきた視聴率の調査対象が、『世帯』から『個人』へとシフトしている」(産経新聞1月18日付)

 他紙も続くと見られる。読売新聞オンラインも同時期にこう書いた。

「家族がそろってテレビを見ていた時代の名残とも言える『世帯視聴率』」(読売新聞オンライン1月21日付)

 世帯視聴率を過去の産物のように扱っている。実際、トレンディドラマ全盛期の1990年と今では世帯視聴率の1%が持つ意味が全く違うのである。

 1990年の時点では65歳以上の高齢者のいる世帯は全体の26.9%に過ぎなかった。しかし、2019年の段階で2倍近い49.4%になった。その後も増えている(内閣府調べ)。

 世間の高齢化は世帯視聴率のサンプル調査にもダイレクトに反映される。だから1990年と比べ、今は高齢者に向いた番組でないと、世帯視聴率を得るのが難しいのである。

 テレビ局とスポンサーは、もとから世帯視聴率など気にしていない。だから、世帯視聴率が低くてもラブストーリーをつくり続ける。代わりに高い個人視聴率を望んでいるのかというと、そうではない。若い女性のF1層(20~34歳の女性)視聴率や10代のT層視聴率、49歳以下のコア視聴率(13~49歳に限定した個人視聴率)を獲ってくれたら良いと考えている。

あまりに奇抜な設定とストーリー

「マルス-ゼロの革命-」の話に戻りたい。不振の原因が道枝にあるとは全く思わない。むしろ、若い俳優なのにお膳立てをしてもらえなかったということで、被害者に見える。設定とストーリーがあまりに奇抜すぎる。視聴者が早々に逃げ出したのもやむを得ない。

 物語は道枝が演じる高校生・美島零が、桜明学園高校に転校して来るところから始まった。美島は5人の落ちこぼれ生徒を集め、動画研究会「マルス」を結成する。その目的は「腐った大人たちがつくった社会を壊すこと」。突飛に思えてならない。

 第3回では美島らが地面師集団をやっつけた。高校生たちが地面師の存在と手口を当たり前のように知っていたのは不思議でならなかった。ドラマは全てウソだが、うまいウソが求められる。そうでないと、観る側はその世界に入り込めない。

 テレ朝は2000年以降、プライム帯における若者向け作品があまりヒットに恵まれない。そもそも若者向け作品の制作本数が少ない。日テレ、フジとは対照的である。

 そればかりではない。「ザワつく!金曜日」(金曜午後6時50分)などのバラエティも視聴者はミドル層以上が中心である。さらに平日の午後9時54分からはやはりミドル層以上に向けた「報道ステーション」がある。

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