冬は“メタボ”と“老化”のリスクが急増――美しすぎる「漢方薬剤師」が指南する「太る食べ物」と「老いる食べ方」
こまめに体を動かすことが大事
もっとも、
「甘酒は、料理の下味として砂糖の代わりに使えば、とてもいい調味料になります。とはいえ、甘酒は美味しいので、ついつい飲んでしまうのもよくわかります。その時は、がぶ飲みしないように、朝食などに取り入れるときには、甘酒を神格化せずにタンパク質や食物繊維などを忘れずにとり、必要な栄養が不足しないように、気を付けていただければと思います」
甘酒に限らず、冬の時期は甘いものが恋しくなるもの。炬燵の上に土産物のお菓子があれば、つい手を伸ばしてしまいがちだ。
「食後に、ちょっとした“習慣”を身につければ、食べても問題ありません。それは、掃除。甘いものを食べてから30分から1時間くらい経つと、血糖値が急上昇し、その間に体の中のコラーゲンとかタンパク質に糖が結合し、エイジス(AGEs)という、老化や生活習慣病の原因物質に変化するのです。血糖値の上昇を抑え、原因物質の発生を抑えるには、食事内容や食べる順番も大切ですが、こまめに体を動かすことが大事。だから甘いものを食べたら、ちょこちょこでいいので動けばいい。窓を拭くとか掃除をするとか、近所を掃くとか。何か一つ食べたら動くことを一つする、といったルールを自分に課してみてください」
意外にも緑茶がいい
さて、どんなに気をつけていても、飲み会などが盛り上がり、夜更かししてつい身体のリズムが乱れてしまうことがある。そんなとき、意外にも緑茶がいいとされているという。
「緑茶は、温度によって抽出されるものが異なってくるんです。高温だとカフェインと抗酸化に働くものが抽出できるので、ストレスが多い日中や、目を覚ましたい朝には、高温抽出がいい。低温で抽出されるのはテアニンといって、リラックス作用があるものです。リラックスしたい夜、寝る前などは、ぬるめのお湯で淹れるとか、朝に水出ししておくと、体のリズムが整いやすくなります。緑茶自体に食後血糖値の上昇を抑える働きがあるので、太りにくくなるとか、抗菌作用があるので風邪を引きにくくなったりします。時間帯によって抽出温度を変えた緑茶を飲むこともとても良いでしょう」
最後に愛先生は、「冬に限らないが」と前置きした上で、非常に大切なことを教えてくれた。
「消化をよくし、食事で太らないようにするために何より大切なのは、決してながら食いをしないことです。お箸を持って器を持って食べる。いったん器を置いてから次の器を持って食べる。あれこれしないことです。一つのものをおいしくいただく。だから、実は和作法をきちんと学んでおくと消化が良くなります。忙しかったりダラダラしたりテレビを見ながら食べていると、姿勢も悪くなるし、消化に良いことはありません。昔の作法には、きちんとした意味があるのです。忙しい時ほど、風邪を引くことができない時ほど、お作法をよくキレイに食べましょう」
食べ合わせや食べ方などちょっとした工夫や注意をすることで、冬に始まるメタボや老化を食い止め健康を維持しよう。愛先生はそう教示してくれる。
[3/3ページ]