妻の不倫相手が臆面もなく現れた… 対峙した47歳夫が「自分も同じ穴の狢になった」と感じた瞬間

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突然、忍さんが結婚

 ストレスまみれだと彼は感じた。だから数週間後には自分から義妹を呼び出した。一緒に飲みたかっただけなのだが、促されてまたホテルに行ってしまった。妻も適当に楽しんでいるのだろう、自分だって……という気持ちもあった。

「娘が中学に入ったころだから、5年ほど前ですかね。娘はバレーボールが好きで、当然、バレー部に入り熱中していました。誰よりも練習したい、とにかくバレーがしたいと毎日、朝練にも出かけていました。急に娘が大人になったような気がした。夕方帰宅すると、夕食のおかずを一品作ってくれるようにもなりました。夜は宿題をするなりバタンキューですよ。そしてまた朝早く起きてバレーをして。妻も僕も、そこまで部活に入れ込んでいなかったから、娘の熱中ぶりがうれしいような寂しいような。土曜日も部活に出かけ、休みは日曜日だけでしたね。僕らも日曜日は家にいるようにはしました。なんとなく暗黙の了解で、家族の時間は大事にしようとしていたんだと思う」

 そんなとき、義妹が突然、結婚した。交際0日だという。幸司さんはもちろん、みんな驚いたが、忍さんは「こういうこともあるよね」とのんきな調子だった。もちろん、不倫となる幸司さんはあっさりと捨てられた。

「これからは家族同士でつきあおうねと忍ちゃんに言われて頭を抱えました。僕、自分で思っている以上に忍ちゃんに依存していた。彼女は結婚しても今まで通りでいいよと言ったけど、僕のほうはそんな気にはなれなかった」

 とりあえず幸ちゃんにはいち早く夫を紹介したいと言われ、渋々待ち合わせの場所に行ってみると、忍さんが同年代の男性と談笑しているのが目に入った。自分だけ未来を見ているのかと、幸司さんは忍さんに嫉妬したという。

「彼を紹介されて少し話していると、そこに彼の友人という男性がやってきたんです。もともと約束していたみたいですね。忍ちゃんが、『おねえちゃんのダンナさん』と僕をその男性に紹介すると、彼は爽やかに笑いながら『田所です』と自己紹介をしました。ピンときました。おそらく妻とつきあっている男なのだろうと。義妹が会わせたんです、わざと」

 義妹夫妻は「ちょっと用があるから」と立ち去ろうとした。幸司さんは「どうして行っちゃうんだ」と思いながら義妹を見たが、彼女は目を合わせようとしなかった。

「僕は遼子さんと仲良くさせてもらっています、とその田所が言うんですよ。よく夫の前でそういうことが言えるなとむかっ腹が立ちました。『遼子さんのような素敵な女性は、どういう男性と結婚したんだろうと思ってた』というから、『僕のマヌケ面を見て嘲笑おうということですか』と返しました。すると彼は『いや、そういうことじゃないんです。僕らは確かに関係をもっていますが、それは幸司さんの存在とはまったく関係のないところで成立しているわけですから』と。意味がわかりませんでした。僕をコケにしてるだけでしょ、ふたりで。でも彼、『僕は独身主義だから恋愛は自由だと思っています。そして実は結婚していても人の心は止められませんよね』と穏やかな口調で言うんです」

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