妻は浮気をしているのでは… 夫婦の“微妙な亀裂”を見て見ぬふりしてきた47歳夫をまちうけていた「まさか」の展開

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妻の不在に不信感

 ところがある日、帰宅すると遼子さんがおらず、義妹の忍さんが3歳になった娘のめんどうを見ながら家事をしていた。忍さんは幸司さんの顔を見ると、「しまった」という表情になり、「今日は遅いんじゃなかったの?」とつぶやいた。

「そのはずだったんだけど商談がひとつ延期になったから、と娘と遊んでいると、忍の様子がどうもおかしい。問い詰めると『ねえさんに聞いて』と帰ってしまいました。その後、遼子が帰宅したので聞いてみると『何の話?』と。そのころ遼子は仕事でチャンスが回ってきたと、かなり仕事に入れ込んでいたんです。生き生きとしていてきれいになった遼子の横顔を見て、浮気しているんじゃないかという思いがチラと横切りました。娘が生まれてから、僕らは忙しくていつでも疲れていて、夫婦でゆっくり過ごす時間もとれなかった。だからここで修正したほうがいいと思い、遼子にふたりで食事にでも行こうかと言ったんです。娘は忍に見ててもらおうと。すると『私だって娘と一緒にいられる時間は短いから、ふたりで食事に行くより家で3人の時間を過ごしたい』と。それもそうだなとその場はおさめましたが、妻が浮気しているかもしれないという思いは脳裏から離れなかった」

 疑問を抱くきっかけがあると、そこから生まれる嫉妬は妄想へと変わっていく。だが幸司さんは嫉妬を抑え込んだ。妻が浮気などするはずがないと信じ込もうとした。そこに無理が生じた。

見て見ぬふりで続ける生活

 夫婦間に微妙な亀裂が入っているのを、ふたりとも見て見ぬふりをしながら生活した。時間だけが着実に過ぎていく。娘が小学校に入るころ、遼子さんは、妹が実母を呼び寄せて一緒に暮らすらしいと報告してきた。その前年、父が亡くなり、母はひとり暮らしをしていたのだが、忍さんが「おねえちゃんも近くにいるし、こっちに来れば」と誘ったようだ。

「小学校に入ると保育園のときより時間的な問題が生じてくるのはわかっていました。遼子は『母が来てくれれば、平日はほとんど心配ない。私もこれからは少し早く帰れるから』と。爽やかな笑顔だったので、義父の病や義母のことが心配だったんだ、やっぱりそうだ、妻が浮気などするはずはないのだからと自分自身、腑に落ちた気がしました」

 穏やかな家庭が戻ってきた。忍さんと暮らし始めた義母は孫娘ともすぐに打ち解け、地域のサークルなどにも入って楽しそうだった。遼子さんも部署が変わって定時で帰ることが多くなっていた。

「ときには忍と義母がやってきて、みんなで食事をしたり外に食べに行ったり。義母が思ったより楽天的で包容力のある人だったので、何かあっても、まあまあとおさめてくれる。その後、数年間は楽しい思い出がたくさんあります」

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