“無気力や不安”で不登校になる小中学生が急増中 専門家が指摘する「昔ならあり得ない3つの要因」
復学を決意するも耐え切れず……
しかし、学びの継続は、ときに最悪の結末を招く恐れもある。警察庁発表の「自殺者数」データによると、小中学生の自殺者は、06年度には95人だったが、22年度は160人にまで増加した。その中には、不登校から復学していた児童も少なくなかったという。
「1番多い自殺の動機について、文科省は責任を逃れたいがためか『不明』と発表しているのに対し、警察庁は『学校問題』と明記しています。ある報道では、自殺した不登校経験者のうち約75%の子どもが再登校していたそうです。親の期待に添おうとして復学を決意したが、結局耐えきれなかったのでしょう……。不登校は子どものSOSであり、自分の命を守るためのギリギリの選択。我々大人は、不登校をネガティブな行為ではなく、生存のためのポジティブな行為と捉えてあげることも必要だと思います」
改めていま、学校には何が求められているのか。
「深刻な教員不足が続く中、日々、現場の先生方は児童をめぐる問題や、授業で導入されるIT知識の勉強などに追われて、アップアップしている状態。学校自体が制度疲労を起こしているため、いずれ大きな改革が必要になることは確かでしょう。その一つが、学びの改革。本来、学校は児童が暗記をする場ではなく、論理や思考法、感性を育てる場なんですよ。自分自身の感性を磨き、他者が持つ感性の面白さを知る。
例えば、理科の先生が“菜の花の根っこはどうなっているか”について、教えるとしますよね。そこでただ正解を教えるのではなく、児童に想像で描かせてみて、何でそういう根の形になるのか考えさせることが大切。実物は大根のような根の形をしていますが、もし、ある子が花のような根を描いて、その理由を『一つの花に一つの根っこが繋がってると思ったから』と、答えたとしたらどうでしょう。正解を見せた後に、『実物よりも、~~さんが描いた絵のほうがずっと素敵だったね』といってあげれば、きっとその子は菜の花の根の形を一生忘れないでしょうし、理科が好きになる気がしませんか?
学びを強要せず、ヒエラルキーを作らず、正しさは複数あることを教える。子どもに必要なのはこういう教育だと思います」
大人の社会でも、効率性重視のビジネス競争、ハラスメントやいじめが原因で心を病んでしまい休職する人は多いが、それ以上のストレスを子どもは感じているのかもしれない。
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(相談窓口)
・日本いのちの電話連盟
電話 0570-783-556(午前10時~午後10時)
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・よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター)
電話 0120-279-338(24時間対応。岩手県・宮城県・福島県からは末尾が226)
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・厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」やSNS相談
電話0570-064-556(対応時間は自治体により異なる)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_info.html
・いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧)
https://jscp.or.jp/soudan/index.html
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