“無気力や不安”で不登校になる小中学生が急増中 専門家が指摘する「昔ならあり得ない3つの要因」

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ゴールが見えない学びの継続

 二つ目の息苦しさの要因は「受験競争の早期化」だ。そのストレスのせいか、いまの児童は小学校に入学前の段階から荒れているという。前出の文科省の資料で、小学1年生を06年度と22年度で比較すると、「暴力行為」の件数が123人から6569人と53.4倍に、「いじめ認知件数」も6504人から10万4052人と15.9倍に膨れ上がっている。

「00年以降、6年間で中高一貫の教育を行う『中等教育学校』が増えはじめたことを皮切りに、小学校入学前から“お受験”教育を施される児童も増えていきました。その結果、日々の勉強に追われるストレスで暴力行為に走ったり、クラス内でヒエラルキーが低い子をいじめたりする子も出てきています。そうした中、子どもたちの間では、歪んだ自己責任論も流行しているようです。勉強ができないのは自己責任、いじめられるのも自己責任……。こうした自己責任論は大人の社会にも見られるため、それを見て育った子どもはヘルプすらもいいにくい状態なんでしょう」

 三つ目の要因は、ゴールが見えない「学びの継続」だ。

「勉強に嫌気がさして不登校になっても、すぐに再登校を強いられたり、フリースクールへ入学させられたりする。もっとも、親御さんにしてみれば、それも仕方のないことでしょう。できるだけ子どもの将来のキャリアに傷をつけたくありませんし、親自身も就業中のキャリアを捨てて、不登校の子どもをつきっきりで面倒みるわけにもいきませんからね。

 またフリースクールへ通わせるにしても、平均毎月3万円以上の授業料がかかります。それならば心のケアを目的とした学校よりも、名門塾経営のサポート校を選びたくなるのが親心。一方で、貧困層の家庭の子どもは、フリースクールへも通えず、再登校を余儀なくされてしまう。学校へ行く行かないにかかわらず、児童は学びの継続を求められるばかり……」

 もっとも、いまのこうした風潮は、文科省が取り組む「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」(COCOLOプラン)が原因の一端を担っていると、増田教授は指摘。「COCOLOプランは、不登校児に対して“学びの継続”を推進する指針であり、心の問題がなおざりにされている」という。

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