“無気力や不安”で不登校になる小中学生が急増中 専門家が指摘する「昔ならあり得ない3つの要因」
小中学生の不登校児童生徒は30万人に迫り、過去最多を更新中だ。不登校の主な動機は原因不明の「無気力や不安」とされ、教育現場や行政も解決の決め手を欠いている。そして一度は復学したものの、最終的に自殺を選んでしまう児童も多いという。いま教育現場で何が起きているのか――。(フリーライター 岡田光雄)
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「小学校で担任教師だった頃、約4年間も不登校気味の男子がいました。その子に、校舎の写真をプリントアウトした用紙とカラーペンを渡して、『今日の君にとって、学校はどんな風に見えるか描き加えてみて』と提案したところ、彼が描いたのは校舎に牙と角がはえた絵でした。一部の子どもにとって、学校はそれほどに恐ろしい場所なんです」
そう語るのは、白梅学園大学子ども学部子ども学科で教鞭を執る増田修治教授。28年間、小学校教諭として教壇に立ち、現場の最前線で多くの不登校児と向き合ってきた経験を持つエキスパートは、年々、複雑化する学校問題に危機感を募らせている。
昨年10月、文部科学省は2022年度版の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」を発表した。それによると、不登校中の小中学生の人数は29万9048人(前年比22.1%増)に達して過去最多となり、不登校の要因は「無気力や不安」が51.8%と過半数を占めた。
「こうした不登校児が増えた原因について、文科省はコロナの影響で学校へ行く機会が減って友達や楽しい思い出が作れず、生活リズムも崩しやすくなったからだろう、と見立てているようです。しかし、コロナが一番の原因ではないと分析しています。いまの子どもたちは、学びの有用感を喪失していたり、学校に息苦しさを感じているんです。
子どもたちはちゃんとSOSのサインを出しているんですよ。一昔前の教師の中には、朝の出席確認の返事などで、生徒の声色や顔色のちょっとした変化に気づいて、不調を見分けられる人もいました。ところが、最近は文科省の推進もあって、出席確認や授業もパソコン・タブレットで行う学校が増えましたから、生徒の異変に気づくことが難しい。SOSに気づいてあげられる大人が周りにいなければ、子どもはどうすることもできない。そんな不条理を目の当たりにして、どんどんやる気を失っていくんです」(増田教授、以下同)
無気力や不安の元凶とされる学校生活での息苦しさについて、もう少し深堀してみよう。
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