「河野談話はファクトチェックなしで作られた」 元慰安婦の「心証」を基にした談話は破棄すべき、と専門家が指摘
性奴隷説を否定すると刑事告訴され…
韓国の世宗大学名誉教授朴裕河(パク・ユハ)氏は、その著書『帝国の慰安婦』において、慰安婦は日本兵と同志のようなものだった、として性奴隷説を否定した。さらに、彼女は、強制連行したり、レイプしたりしたのは朝鮮人周旋人であって、日本軍ではないことも、元慰安婦からの証言をもとに明らかにした。
これは、「慰安婦は強制連行された」「それを行ったのは日本軍だったこともあった」という河野談話で認定されている事実と食い違う。したがって、朴氏は事実と違うことを著書に書いて、日本軍によって一方的に性奴隷にされた元慰安婦の名誉を傷つけたとして元慰安婦らから刑事告訴された。
最高裁では無罪に
また、柳錫春(リュ・ソクチュン)延世大学元教授は、現役だったとき、大学の授業のなかで「(慰安婦関連の)直接的な加害者は日本(政府)ではない」とし「慰安婦は売春婦の一種で、自発的なものと強制的なものと半々だった」と学生に話した。これも、日本軍が直接関与した強制連行によって性奴隷にされた純粋な被害者である元慰安婦を、半ば自発的になった売春婦であるとし、名誉を傷つけたとして「日本軍性奴隷問題解決のための正義記憶連帯」などから訴えられた。
朴氏に関しては、一審無罪、二審で有罪判決が出たが、最高裁では「学問上の学説を唱えたのであって、事実を指摘したわけではない」ということで無罪になった。
柳氏も、懲役1年6カ月が求刑されていたが、1月24日の一審判決では、朴氏の場合と同じく、大学で学説を唱えたことをもって名誉が毀損(きそん)されたとまではいえないとして無罪が言い渡された。つまり、慰安婦強制連行性奴隷化説を否定はしないが、学問の自由に照らして、それと反対のことを唱えても名誉毀損とならないというレトリックだ。これは河野談話と正面衝突することを回避した韓国司法の知恵だろう。
このように、韓国では、河野談話は歴史的事実に基づいて慰安婦の真実を語った研究者が裁判で訴えられる要因の一つとなっている。
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