「河野談話はファクトチェックなしで作られた」 元慰安婦の「心証」を基にした談話は破棄すべき、と専門家が指摘
1月24日、韓国で「慰安婦は売春婦」発言で訴えられた延世大学元教授への判決が出た。こうした刑事告訴の背景にあるのが、慰安婦の強制連行を認めた「河野談話」。それはどのような経緯で発表されたのか。昨年暮れ、衆議院が公開した河野洋平氏の口述記録を読むと……。【有馬哲夫/早稲田大学教授】
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年の瀬も押し詰まった去年の12月27日、河野洋平元衆議院議長がにわかにマスコミの注目を集めた。衆議院の「正副議長経験者に対するオーラル・ヒストリー事業」で、第71代・72代の衆議院議長だった河野氏に行った聞き取りの口述記録(2018年10月から22年6月まで、計31回)が公開されたからだ。
河野氏といえば、1993年8月、宮沢喜一内閣の官房長官のときに出した「河野談話」で知られる。これは、旧日本軍による朝鮮人慰安婦の強制連行を認め、慰安婦の募集に関しても日本軍の直接的関与を認め、日本政府として公式に謝罪した声明とされている。
正体不明の団体から解職要求が…
この声明によって、国際社会では「日本軍は朝鮮人慰安婦を強制連行し、性奴隷にした。女性たちの人権を踏みにじり耐えがたい苦痛を与えた」と認定されている。このため、現在でも、日本は世界から非難の目で見られている。従って、河野氏がこの声明について、口述記録でなんと証言しているかに関心が集まった。
かくいう私もこの談話に関する部分を特別な関心をもって読んだ。というのも、つねづね河野談話の破棄を主張し、『「慰安婦」はみな合意契約をしていた』という著書も出しているからだ。こういった主張をしたため韓国メディアの一部からバッシングを受け、正体不明の特定団体から解職要求を出されたことさえある。
そこで、以下では、まず河野談話は国際的に見て、どのような問題点をもっているのか、それに照らして、この口述記録はどのように読めるのかを述べていきたい。
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