「回を重ねるごとに、観るつらさが増す」では視聴者も脱落する…永野芽郁「君が心をくれたから」に必要なもの
人は太古の昔から悲劇を愛してきました。アリストテレスは紀元前4世紀に書いた『詩学』に、悲劇の効用について「心のなかに溜まっていた澱のような感情が解放され、気持ちが浄化される」と記し、それを「カタルシス」と名づけています。悲劇には心のなかに怖れや憐れみを呼び起こし、鬱積した感情を除去する効果があるというのです。
悲劇を構成する最大の要素が不幸であることは、いうまでもありません。すると、演劇でも、映画でも、テレビドラマでも、不幸をてんこ盛りにすれば、より大きなカタルシスが得られるのでしょうか。...