“政治とカネ”が透明化? 個人政治献金は定着するのか
共和党を大きく上回る献金を獲得
ウィンジャパンが念頭に置くのは、アメリカにおける個人献金の集金モデルだ。
「アメリカでは共和党が“ウィンレッド”、民主党は“アクトブルー”という資金調達のためのプラットフォームを活用しています。そこでは地方や州、あるいは連邦政府の公職に立候補している人物をはじめ、政治団体や慈善非営利団体への献金が可能なシステムが整備されているんです」
一般に共和党の支持者には中流から富裕層が多く、民主党の支持者は中流から低所得層が中心とされる。
「ブッシュ大統領父子には、テキサス州などの石油関連事業者から計数十億ドルもの巨額の献金が提供されました。トランプ大統領も、潤沢な資金を持つ資産家や投資家から巨額の献金を受けていましたが、2022年の中間選挙の際に、より多くの献金を集めたのは民主党でした。彼らが前出のサイトで集めた総額は約7億5千万ドル(約912億円)で、共和党の約5億2千万ドル(約624億円)を大きく上回っています」
「便宜供与の余地はほとんどない」
すでにウィンジャパンの活用に乗り出している、自民党の佐藤正久元外務副大臣は次のように指摘する。
「特定の政策を支持する国民が、その実現や推進に取り組む政治家を精査・評価して資金面でも支援する。こうした政治文化の定着は、日本の民主主義の成熟にも大きく資すると思います」
その理由は、
「政治家も人間ですから、献金主の団体や企業には気を使います。その点、個人献金は政治家と献金主との間に価値観の共有や連帯感は生まれるものの、便宜供与の余地はほとんどありません。献金主は使途や明細の開示を求めるでしょうし、政治家にはそれに応じる義務と責任が生じるからです。よって、資金の流れは完全に透明化されます」
開催中の国会は、活用の是非も議論すべきだろう。
[2/2ページ]