“東海大相模の元エース”も…社会人野球の有望株が「独立リーグ」に続々と移籍する理由

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今年25歳ながら“貴重なサウスポー”

 選抜高校野球の出場校が決まり、プロ野球のキャンプもスタートするなど、あらゆるカテゴリーで球春到来の話題が増える時期となった。大学や社会人でも新たに入部する選手が続々と発表されているが、例年以上に話題となっているのが独立リーグである。社会人の企業チームから移籍して、独立リーグに入団する選手が目立つのだ。主な選手を挙げてみると、以下のような名前が並ぶ。【西尾典文/野球ライター】

<投手>
安里海(日立製作所→BCリーグ神奈川)
氏家蓮(トヨタ自動車東日本→BCリーグ神奈川)
香川卓摩(JFE西日本→四国アイランドリーグ香川)
宮地悠良(ミキハウス→四国アイランドリーグ徳島)
広沢優(JFE東日本→四国アイランドリーグ愛媛)

<捕手>
大友宗(日本通運→BCリーグ茨城)

<外野手>
斎藤健成(西濃運輸→BCリーグ神奈川)

 このなかで、実績的にナンバーワンと言えるのが安里だ。東海大相模では下級生の頃から投手陣の一角に定着し、2年秋からはエースとして活躍。東海大では故障に苦しんだものの、4年秋にはリーグトップの防御率0.50をマークして最優秀投手のタイトルも獲得している。日立製作所での2年間は都市対抗、日本選手権での登板こそなかったが、レベルの高い社会人の中でも安定した投球を見せていた。今年で25歳となるが、貴重なサウスポーだけに、独立リーグでしっかり結果を残せば、ドラフト指名も見えてくるだろう。

増加する「独立リーグで活躍してプロ入り」

 それ以外の選手も学生時代から評判だった選手が多く、香川と広沢は甲子園のマウンドも経験している。広沢は190cmを超える長身から最速150キロ以上のスピードをマークする大型右腕で、常に高い注目を集めていた。

 一方、野手では、大友も帝京大時代から評判の強肩強打のキャッチャー。日本通運時代は、社会人野球を代表する捕手の木南了がいたため、なかなか公式戦でマスクをかぶる機会は多くなかったが、独立リーグでは、“打てる捕手”の活躍が楽しみだ。

 過去にも、社会人野球を離れて独立リーグに活躍の場を移す選手はいたが、ここまで社会人野球で名前が知られた選手が揃って独立リーグに移籍することは、おそらく初めてではないだろうか。

 昨年のドラフトでは、ロッテ2位の大谷龍輝(JFE東日本→伏木海陸運送→日本海リーグ富山)と、阪神2位の椎葉剛(ミキハウス→四国アイランドリーグ徳島)が、社会人野球の企業チームから独立リーグに移籍して活躍、プロ入りを果たした。

 このほか、阪神育成1位の松原快(ロキテクノ富山→日本海リーグ富山)、オリックス育成4位の芦田丈飛(オールフロンティア→BCリーグ埼玉)も同じように、独立リーグで開花して、ドラフト指名を勝ち取っている。

 このオフに企業チームから独立リーグへの移籍が増えている背景には、彼らの影響があったことは想像に難くない。

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