「乾き切ったスポンジのよう」 春風亭小朝が語る坂東玉三郎の驚異的な柔軟さ

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「ちょっとした意見にも耳を貸してくださる」

 とくに小朝は、平成24年に人間国宝にも認定された大御所でありながらいまも歌舞伎界の一線で活躍する玉三郎の、柔軟な思考や発想に頭が下がったそうだ。

「リハーサルの時も、衣装や照明、演出について、必ず“ねぇ、どう思う?”と意見を求めて下さる。ある時、幕を下ろすタイミングについて玉三郎さんが“これで決まり”とされた後も私が首をかしげていたら、目ざとく“どう思った?”と。私なりの意見を伝えたら“分かった。そうしましょう”と聞き入れて下さった。スタッフや周囲は驚いていましたが、ちょっとした意見にも耳を貸して下さるので、話し合うのがとても楽しいです」

意外な一面に圧倒

 二人の交友は、令和2年に放送された、明智光秀の姿を描いたNHK大河ドラマ「麒麟がくる」での共演がきっかけだった。玉三郎が正親町(おおぎまち)天皇を、小朝がその弟・天台座主の覚恕という兄弟役での初共演を奇貨として、2度の舞台が実現したという。

 ドラマから4年越しとなった先の公演に際して、小朝は玉三郎の意外な一面に圧倒された。

「玉三郎さんはとにかく話好き。最初に歌舞伎座でお目にかかった時は、雑談だけで2時間半ほど話し込んだくらいです。公演初日も2日目も、私たちの対談コーナーが始まる直前までオフレコ話を40分。舞台では55分だったかな。本を2冊は出せるくらい語り合ったと思います」

 過去の舞台は好評で、すでに3度目に向けた話し合いも始まっている。

「私たちが考えるのは、お客さまに“いかに良い舞台をご覧いただくか”のみ。いまからワクワクしています」

 次回はこれまで以上に“攻めた”企画になりそうだという。

週刊新潮 2024年2月8日号掲載

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