舞台「ジョジョの奇妙な冒険」 5日間休演でファンが激怒した“核心部分” 専門家は「舞台芸術の複雑化」を指摘
天下の帝劇
「出演者やスタッフにコロナ感染者やケガ人が出たというのなら、正直に発表するでしょう。ファンだってそのほうが納得できますからね。一方、コロナ禍では多くの舞台が中止になり、職を失うことになった舞台技術者などスタッフは少なくありませんでした。いまになって舞台スタッフが足りないという声はよく聞きます」
ジョジョミュも人手が足りなかったのだろうか。
「それはあり得ません。業界トップの東宝が率いる帝国劇場ですから、ベストのスタッフを揃えたはずです」(同・評論家)
ではなぜ?
「残念ながら、はっきりした原因はわかりません。“複雑な演出プラン”という発表でしたが、演出の長谷川寧さんはダンス系の演出家で、それほど複雑な演出をするとは考えにくい。演出だけなら、初日に合わせて変えるとか何か対応策はあったはずです。予想以上にテクニカルな問題が出てきたのかもしれません」(同・評論家)
テクニカルとは?
複雑化する舞台
「演出に合わせた舞台技術です。昔は回り舞台に書き割りのセットぐらいでしたが、最近は映像にLEDを使ったり、セットも非常に細かくできており、意外なところが動いたりもする。回り舞台も何分の1度回すとか、立体パズルのような舞台もある。その中でセットと役者がシンクロするのです。暗転もなく芝居を続けながら背景が変わっていくという複雑な作りが多くなっています。そのうちのどれかひとつでもズレたりすれば、舞台は成り立たないのです」(同・評論家)
そのために中止になった舞台もあるという。
「昨年10月にケラさん(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)が作・演出した『眠くなっちゃった』(東京・世田谷パブリックシアター)は、舞台機構にトラブルが発生して初日から2日間が中止となり、さらに延長して5公演が中止になりました。11月には舞台『鬼滅の刃』(東京・天王洲 銀河劇場)も、舞台稽古に想定以上の時間を要したことで進行に遅れが生じたため初日の公演が中止になりました」(同・評論家)
なんだか、今回と似ているようにも思えてくる。
「漫画やアニメを原作にした舞台やミュージカルは増えていますからね、忙しくて稽古時間が少なくなっていることも影響しているかもしれません」(同・評論家)
とはいえ、天下の帝劇である。
「帝劇は老朽化による建て替えのため来年2月に休館することを発表しており、現在は“クロージングラインナップ”を上演しています。中でも『ジョジョ』は、建て替え前の帝劇最後の新作オリジナル・ミュージカルと謳っています。それだけに力も入っており、攻めた作品なのだと思いますが……。ただでさえ実写のイメージがない『ジョジョ』ですからね、これだけ待たされると、どこがどれだけ大変だったのかが見たいし、変な話ですが、かえって期待値が上がってしまいます」(同・評論家)