井端監督が本人に打診したが…ロッテ・佐々木朗希は11月の「プレミア12」に出場できるのか
まずはローテーション死守
ただ、佐々木の側からするとプレミア12出場は決して簡単な決断ではない。長いシーズンをフルに戦った後の国際大会は選手にとって負担が大きく、特に投手の場合は肩や肘の故障につながるリスクもある。出場するためには、コンディションに不安がないことが条件となる。佐々木はプロ3年目の22年に史上最年少の20歳で完全試合を達成してブレークしたが、この年は無理をせず十分に登板間隔を空けて起用され、出場選手登録を抹消されて戦列を離れることもあった。
昨年は3月にWBCに出場して日本の優勝に貢献し、ペナントレースでは前半戦で7勝を挙げた。しかし、7月に左脇腹の肉離れで離脱。レギュラーシーズンでの登板は15試合にとどまった。長いシーズンを全うした上でプレミア12に出場する余力が残っているかは未知数だ。今年も故障や疲労で登板を回避することがあれば「メジャーで中4日の起用に耐えられるのか」という声が上がるのは必至で、佐々木自身としても代表戦よりもまずシーズンで先発ローテーションを守り抜きたいという思いが強いだろう。実際、井端監督の直々の打診にも、「けがだけしないように頑張ります」と控えめに答えたという。
熱望するメジャー移籍への鍵となる球団への貢献度を高めるには、シーズン終盤での奮闘が欠かせないという事情もある。
「佐々木は完全試合など鮮烈な印象を残していますが、今のロッテでエースと言えるのは佐々木ではなく小島和哉投手です。小島は昨季は佐々木を上回る10勝を挙げたというだけでなく、勝った方がクライマックスシリーズ(CS)進出という状況だった楽天とのレギュラーシーズン最終戦で白星をつかみ、ソフトバンクとのCSでは登板間隔を詰めて中5日で先発して再び勝利をもたらしました。まさに大黒柱の働きでした」(同)
プレミア12でのアピールは
一方の佐々木は、
「故障による離脱から9月に復帰してから、2試合投げたところで発熱のため再び離脱しました。CSではソフトバンクとのファーストステージの初戦で3回を完璧に抑えたとはいえ、わずか41球で交代し、その後は登板がありませんでした。ロッテはCSで先発陣が不足し、右肘の炎症で戦列を離れていた種市篤暉投手をぶっつけ本番で先発させたり、救援陣だけで短くつなぐ『ブルペンデー』で戦ったりと、必死のやりくりをしていただけに、わずか打者9人に投げただけの佐々木には物足りなさが残ったのも事実です」(同)
昨季までオリックスを3連覇に導いた山本はもちろん、16年に日本ハムに日本シリーズ制覇をもたらした大谷翔平選手や、13年に24勝0敗の驚異的な成績で楽天を日本一まで引っ張った田中将大投手など、これまでにポスティングシステムで渡米した大物は、移籍前に所属球団の優勝に大きく貢献している例が多い。佐々木も大車輪の働きでロッテを日本一へ導けばメジャー移籍を引き寄せることができそうだが、CSや日本シリーズでフル回転すればプレミア12までコンディションを保つことは難しくなるかもしれない。
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