部員わずか19人、全員地元っ子…創部120年・和歌山「耐久高校」を“初甲子園“へ導いた立役者

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粘りの野球で旋風を巻き起こした

 それでも見事な戦いぶりである。しかも部員はわずか19人で、全員が近隣の出身者だ。ほとんどの選手がシニアやヤングリーグなどで硬式を経験しているが、それでもスーパースターといえる選手は1人もいない、いわば“ごく普通の球児たち”の集まりなのである。

 快進撃の立役者を挙げるとすれば、やはりエースの冷水孝輔だ。驚異的なスタミナを武器に、秋の県新人戦3試合、県大会6試合、近畿大会3試合の公式戦計12試合をほぼ1人で投げ抜いたタフネス右腕である。最速142キロのストレートにスライダー、カットボール、ツーシームを巧みに操り、低めへの制球力も抜群。何よりピンチでも動じない気持ちの強さが投球に表れている。

 中学時代には強豪私立からも声を掛けられたが、耐久に進学した。20年秋に県8強入りし、21世紀枠推薦校に選ばれたときのエースが3歳上の兄・秀輔だったからだ。“兄を超える投手になる”を目標に入学し、有言実行を果たした。

 大黒柱の冷水を中心に、粘りの野球で旋風を巻き起こした19人の選手たち。江戸時代から令和まで11の元号を歩んできた古豪の歴史に新たな1ページが加わった。この春、聖地・甲子園でさらに歴史が塗り替えられることを期待している。

上杉純也

デイリー新潮編集部

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