元祖おひとりさま、不良中年の星…79歳で孤独死した作家・永井荷風の生き方

  • ブックマーク

 朝日新聞編集委員の小泉信一さんが様々なジャンルで活躍した人たちの人生の幕引きを前に抱いた諦念、無常観を探る連載「メメント・モリな人たち」。今回は作家の永井荷風(1879~1959)。37歳から死の前日まで書き続けた日記『断腸亭日乗』でも記されたその生き様は、「元祖おひとりさま」であり「不良中年の星」でもあると小泉さんは説きます。世のしがらみを排し、自由を貫いた文士の生き様に迫ります。

 この1年で5回、入院した。

 重篤な病気を抱えているため仕方がないが、患者にとって大きな病院は「荒涼たる砂漠」のように思えてならないときがある。...

つづきを読む